前日の予選まで、劣勢に陥っていたレッドブル・ホンダ。しかしレースではマックス・フェルスタッペンが素晴らしいスタートを決め、最後はバルテリ・ボッタス(メルセデス)の猛追もかわして、今季最高位となる2位表彰台を獲得した。
フェルスタッペンの卓越したドライビングが、この結果の最大の要因だったことは間違いない。一方でホンダ製パワーユニット(PU)も、「これまでの使い方を一歩進め、積極的にプッシュした」と、田辺豊治テクニカルディレクターは技術面の貢献を明らかにしてくれた。
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──マックス・フェルスタッペンが今季最高位の2位表彰台を獲得しました。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):はい。開幕戦からここまでの3戦、昨日の予選までは非常に厳しいものでした。その状況からすると今日のレッドブル・ホンダの結果は、素直に喜ぶべきものだったと思います。
フェルスタッペンがいきなりクラッシュした時にはどうなるかと思いましたが、チームスタッフが素晴らしい仕事をしてくれました。いつ再び雨が降り出すかわからない天候に対しても、チームは的確な判断でピットインの指示を出していました。
マックスの素晴らしいドライビングとレース戦略が相まって、2位表彰台を獲得することができました。終盤はボッタスに激しく追われましたが、去年のように急激にタイヤが垂れることもなく、2位を守り切った。(アレクサンダー)アルボンも苦しい週末でしたが、よく5位を勝ち獲ってくれました。
──アルボンがシャルル・ルクレール(フェラーリ)を追っていた際に、「もっとパワーがほしい」と無線で訴えていました。ホンダ側は、それに対してどんな対応をしたのですか?
田辺TD:パワーモードに切り替えました。この時に限らず、今回はレース状況を見ながら、比較的プッシュ気味にパワーユニット(PU)を使うようにしました。相対的な戦闘力を上げるために、PU側も少しでも貢献しようということです。それはアルボンに限らず、4台全部で行いました。レース展開のなかで必要に応じて、そういう使い方をしました。
──ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)のマシンからは白煙が上がるのが見えたのですが、PU側にダメージはありましたか?
田辺:見た目はかなり悪かったですが(苦笑)、データ上はPUにダメージは出ていません。念のために、これからしっかり確認してみます。
──フェルスタッペンのスタートダッシュは、してやったりという感じでしたか。
田辺:マックスは本当に、素晴らしいスタートを決めてくれました。技術的にも、設定通りのいいスタートが切れましたね。我々の実力レベルのスタートが切れ、それが相対的な結果として、あそこまでのジャンプアップに繋がりました。
──ウエット路面でスタートし、序盤はその状態が続きました。濡れた路面に対するエンジンセッティングにも、問題はなかったのでしょうか?
田辺TD:確かにウエット路面ではこの週末ほとんど走れてなかったのですが、限られたデータを解析してどのような挙動になりそうかは、ある程度見えていました。それを基に、セッティング対策を施しました。その結果、ドライバーからは特に否定的なコメントはなかったですね。