新型コロナウイルス感染拡大によって、約4カ月遅れで再開幕した2020年のF1。予定していたグランプリを少しでも多く消化するため、開幕から過密なスケジュールとなった。その最初の3連戦はオーストリア2連戦とハンガリー。オーストリアGPは昨年レッドブル・ホンダが初優勝した舞台であり、ハンガリーGPはホンダにとって復帰後初となるポールポジションを獲得したサーキット。レッドブル・ホンダ有利という下馬評が大勢を占める中で、2020年シーズンが開幕した。
しかし、蓋を開けると、2020年のF1はメルセデスが過去最高とも思える仕上がりを見せたのに対して、レッドブル・ホンダは空力のアップデートが思うように機能せず、結果はメルセデスの3連勝に終わった。
サーキットでレッドブル・ホンダの戦いを見守り続けているホンダF1の山本雅史マネージングディレクターに、この3連戦を振り返りつつ、今後についての抱負を語ってもらった。
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──開幕3連戦が終了しました。いまの率直な感想をお願いします。
山本雅史マネージングディレクター(以下、山本MD):われわれホンダは最大のライバルであるメルセデスやフェラーリの伸び代分を考慮して、ここまでパワーユニットを開発してきました。そんななか、開幕戦は(メルセデスと優勝を賭けて)戦えていたと思いますが、第2戦シュタイアーマルクGPは大雨での予選といい、第3戦ハンガリーGPは予選とレースともにルイス(・ハミルトン)の速さが光っていたという印象です。
ただ、ハンガリーGPのレースではレッドブルのスタッフとマックス(・フェルスタッペン)も素晴らしいパフォーマンスを披露してくれました。あらためてレッドブルが素晴らしいチームであることを認識しました。ハンガリーGPでの予選7番手から、しかもあの状況から、2位になったことには本当に驚かされました。
──ホンダのパワーユニットの性能に関しては?
山本MD:開幕前の段階で、FIAからは年間で使用できるパワーユニットは2基という通達があり、もしもレースが16戦以上に増えた場合はそこで初めて(ICE,TC,MGU-H,MGU-Kの基数)を検討することになっていました。
開幕した当初はまだイタリアGPまでの8戦までしかカレンダーが発表されていなかったこともあり、パワーユニットマニュファクチャラーは、周りの出方を見て(パワーユニットの出力を決めて)いたと思います。
われわれホンダも、2戦目のシュタイアーマルクGPからは1戦目で学んだことを2戦目に活かしていたし、3戦目のハンガリーGPでは低速サーキットでのいいマッピング、いい使い方ができていました。
パワーユニットの観点から、開幕3戦を振り返れば、ホンダは今年の仕様に合わせた使い方ができるようになり、しっかりと進化していることを見せることができていました。ライバル勢に目を向ければ、(車体を含めた)メルセデスの進化がアンビリーバブルという感じで、驚いているというのが正直な感想です。
──レッドブルのパフォーマンスについてはどんな感想をお持ちでしょうか。
山本MD:レッドブルに関しては、私があれこれ言う立場ではないので、ここでは差し控えさせてもらいますが、すでにマルコさん(ヘルムート・マルコ/モータースポーツアドバイザー)やクリスチャン(・ホーナー代表)がSKYスポーツなどのテレビ局インタビューに答えているとおりだと思います。私にもパドックでコーヒーを飲みながら、ほとんど同じことを語っていましたから。もう少し、ストレートな表現ですが。
ただ、マルコさんやクリスチャンがRB16について、あのようにしっかりと語るというのは、ある意味、異例のことだと受け止めています。