決勝レース12周目にダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)のクラッシュで、2度目のセーフティーカーが導入された2020年の第4戦イギリスGP。ピレリの事前の予想では20周目前後がピットストップのタイミングとなったため、このセーフティーカーランの間にほぼすべてのドライバーがピットインし、タイヤ交換を済ませた。ただし、17番手からスタートしていたロマン・グロージャン(ハース)はギャンブルに出て、ステイアウトし、5番手までポジションを上げていた。
レース再開前の状況の順位は、先頭からルイス・ハミルトン(メルセデス)、バルテリ・ボッタス(メルセデス)、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、グロージャン、カルロス・サインツJr.(マクラーレン)、ダニエル・リカルド(ルノー)、ランド・ノリス(マクラーレン)、ランス・ストロール(レーシングポイント)、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)、エステバン・オコン(ルノー)、アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)、ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)、アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)、ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)、キミ・ライコネン(アルファロメオ)、ニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)だ。
19周目に、レースが再開されると、グロージャンにサインツJr.が襲いかかり、テール・トゥ・ノーズの戦いとなる。
サインツJr.:彼(グロージャンがブレーキングで)が進路を変えたよ。すごく危険だ。オー・マイ・ゴッド
マクラーレン:了解。われわれもモニターで確認している
その後、グロージャンにはレース審議委員会からブラック&ホワイトフラッグが振られた。グロージャンは納得いかない。
ハース:ターン15のブレーキングに対して、ブラック&ホワイト旗が出た
グロージャン:何を言ってんだ。きちんとスペースを半分、残していたじゃないか
ちなみにこの日のグロージャンはダニエル・リカルド(ルノー)とのバトルでもあわや接触というシーンがあった。
リカルド:いやー、いまのは乱暴だなあ……
そんな中団の激しいバトルをよそに、スタート前にリラックスしていたフェルスタッペンは、レースでも単独走行が続いていたせいか、余裕の走行。こんな無線を送る。
フェルスタッペン:みんな、水分補給を忘れないでね
レッドブル・ホンダ:サンキュー(笑)
6番手からスタートしていたストロールは、レースで失速。9番手からスタートしたオコンに猛追される。
ストロール:エネルギーが残っていない!!
レーシングポイント:いや、まだ残っている。エナジーボタンを押せ
今年のイギリスGPではレース終盤に複数のドライバーがタイヤをパンクさせた。その原因ははまだ明らかになっていないが、じつは41周目にボッタスがこんな違和感を覚え、無線で報告していた。
ボッタス:(タイヤの)振動がひどくなってきた。フラットスポットが原因ではなく、タイヤそのものから振動を感じる
42周目にはサインツJr.も同様の無線を。
サインツJr.:振動が大きくなっている。どうなっているの?
ふたりとも、13周目に交換したハードタイヤでチェッカーフラッグを目指す。しかし、50周目にボッタスのタイヤが悲鳴を上げた。
ボッタス:タイヤに何かが起きたようだ
メルセデス:パンクだ。左フロントだ。
ボッタス:××××××