第4戦イギリスGPから2週連続でシルバーストン・サーキットで行われるグランプリは、F1が世界選手権としてスタートした1950年から70周年ということで、「70周年記念GP」という名称で開催されている。
その記念イベントで、レッドブル・ホンダはパワーユニット(PU)を一新。マックス・フェルスタッペンはICE、TC、MGU-H、MGU-K、ES、CEの6つのコンポーネントをすべてを2基目にしてきた。
チームメートのアレクサンダー・アルボンは、ICE、TC、MGU-H、MGU-Kの4つのコンポーネントに2基目を投入。これはすでに第2戦シュタイアーマルクGPと第3戦ハンガリーGPでES、CEをそれぞれ2基目にしていたためだ。
今回のパワーユニットの交換は、もちろん、イギリスGPでレッドブル・ホンダの2人のマシンに搭載されたユニットにトラブルが発生したからではない。そのことは、ホンダ・レーシングF1のツイッターのこんなつぶやきからもわかる。
「今シーズンのPU戦略の一環として、このイベントではふたりのドライバーに新しいPUを導入します。これにより、PU管理の点で柔軟性が向上します。新しいPUは前戦まで使用してきたものと同じ仕様です」
つまり、トラブルがあっての交換ではなく、戦略的交換だった。
じつは70周年記念GPの金曜日には、レッドブル・ホンダ以外にも何人かのドライバーがパワーユニットを交換してきた。ICEとTCとMGU-Hはダニエル・リカルド(ルノー)が、MGU-Kはリカルドのほか、バルテリ・ボッタス(メルセデス)、レーシングポイントのふたり、ウイリアムズのふたりがそれぞれ2基目を投入している。
70周年記念GPは5戦目。つまり、1基目はまだ4戦しか使用していない。なぜ、この時期にレッドブル・ホンダをはじめ、多くのドライバーが2基目を投入してきたのか。それはまだ最終的に決定しない今シーズンの日程が関係しているのではないかと思われる。
本来であれば、2020年はレギュレーションによって、ICE、TC、MGU-H、MGU-Kの主要4コンポーネントに関しては年間3基まで、ESとCEは年間2基までペナルティなしで交換できることになっている。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響により4カ月遅れで7月に開幕した時点で、シーズンはまだ8戦までしか確定できていなかったため、FIAは急きょレギュレーションを変更。主要4コンポーネントに関しては、年間2基でスタートしていた。
ただし、これには条件がついていて、「シーズンが15戦以上となった場合、主要4コンポーネントに関しては、年間3基へ増やす」ことで合意していた。