2020年の6戦を終えて、アルファタウリ・ホンダは予選Q3進出が4回、5レースで入賞を果たしている。ただしダブル入賞は一度もなく最高位も7位と、やや控えめな結果だ。そのためコンストラクターズ選手権では暫定7位に留まり、6位のルノーに2倍以上のポイント差を付けられている。
その辺りの状況を、ホンダのアルファタウリ担当である本橋正充チーフエンジニアは、どう見ているのか。今季2度目の3連戦を、総括してもらった。
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──2度のシルバーストンと、先週のバルセロナ、この3レースのアルファタウリ・ホンダの戦いぶりを、本橋さんはどう見ていますか。個人的には、ルノーやマクラーレン、レーシングポイントとの差が広がっている印象を持っているのですが。
本橋正充チーフエンジニア(以下、本橋CE):結果的には、そうかもしれません。ただチームとしてはセッティングもいい方向性が見つかって、最初の3連戦よりはずっといい感触を得ています。実際のパフォーマンスも、上がっていますしね。
──前回話を伺った際には、クルマへの理解がなかなか進んでいないとのことでした。その部分で、進展があったということですね。
本橋CE:はい。チーム側もいろいろセッティングを試して、いい方向性が見つかってきたようです。レース展開まで含めると、まだ見直すべき部分がありますが、純粋なパフォーマンスが上がってきたことは間違いないでしょう。
ーピエール・ガスリーは今回の3連戦でも、特に予選一発の速さが光っていました。あのラップタイムが、アルファタウリ・ホンダの本来の速さと考えていいですか?
本橋:そうですね。なかでも今回の第6戦スペインGPでの予選Q2は、マシン性能を最大限引き出せたと思います。
──あの5番手は、凄い走りでした。
本橋CE:本当に。ガスリー自身、すごく乗れていましたし、うれしそうでした。Q2は、ですが(苦笑)。
──Q3は「ちょっと……」という感じでしたもんね。最初の3連戦の際は、「思ったものとは違う挙動が返ってくる」と、本橋さんは言っていました。それもだいぶ、なくなってきたのでしょうか。
本橋CE:そうです。セッティングを変えれば変えただけ、「ああ、こうなるね」という方向性に行くようになった。あとはコンディション変化に対して、いかに安定して性能を発揮できるかですね。
──たとえばシルバーストンの2戦は、アルファタウリもタイヤマネージメントにずいぶん苦しんだのですか?
本橋CE:全般的には、厳しかったです。中団勢で走っていると、特に渋滞が予選でもレースでも付き物ですから。その状況でアタックしたり、レースでは前後の距離を測ったりということをしないといけない。ただライバルたちが苦しんだほど、(アルファタウリ・ホンダは)苦しまなかった。ここ数戦は、その辺りはうまくできていると思います。