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F1 ニュース

投稿日: 2020.09.10 18:29
更新日: 2020.09.11 17:57

F1 Topic:ライバルが称賛した最高のディフェンス。なぜガスリーはサインツの猛追を凌げたのか【F1第8戦】

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F1 | F1 Topic:ライバルが称賛した最高のディフェンス。なぜガスリーはサインツの猛追を凌げたのか【F1第8戦】

 F1第8戦イタリアGPでのピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)の奇跡とも思える初優勝には、アルファタウリの絶妙な戦略と、それを実行したガスリーの高度なテクニックがあったことも忘れてはならない。

 特に印象的だったのが、レース終盤にカルロス・サインツJr.(マクラーレン)の猛攻を、ガスリーは凌ぎきったことだ。なぜ、ガスリーは防御できたのか。

 その最初の鍵となるのが、赤旗によるタイヤ戦略の変更だ。赤旗となる前に2人はともにタイヤ交換を済ませており、そのとき選択したタイヤはガスリーがハードでサインツがミディアムだった。

2020年F1第8戦イタリアGP 決勝赤旗中のピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
2020年F1第8戦イタリアGP 決勝赤旗中のピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)

 しかし、赤旗が出てタイヤ交換が可能になったため、ガスリーは残っていた新品のミディアムに交換したのに対して、サインツには新品のミディアムは残っておらず、22周目にタイヤ交換したミディアムをそのまま使用することにした。残り27周ならハードは硬すぎ、ソフトは軟らかすぎたからだ(赤旗後4番手と5番手からスタートしたアルファロメオの2台がポイント圏外に終わり、エステバン・オコンがレース後、無線でエンジニアと口論していたことでもわかる)。

 この4周分のマージンが、ガスリーにとって、レース終盤大きな力になる。それはガスリーのほうがダウンフォースをつけ気味にしたセッティングにしていたからだ。モンツァはセクター1がシケインひとつと全開で走る高速コーナーひとつだけの高速区間だが、セクター2にはレズモがあり、セクター3にはアスカリとパラボリカの中高速コーナーがあるため、ダウンフォースもそれなりに必要となる。

 つまり、抜きどころとなる1コーナーまでのストレートでは最高速で時速7kmほどサインツのほうが上回っていたが、セクター2と3はガスリーのほうが速かった。特にガスリーが速かったのがセクター2で、ここではハミルトンに次ぐ2番手の速さがあり、7コーナー(レズモの出口)のコーナーリングスピードは、5番手サインツの時速166.3kmに対して、ガスリーは時速179.6kmと時速13kmも速かった。

 そのことはレース後の会見でガスリーもコメントしていた。

「カルロスがスリップストリームを利用してくることはわかっていた。だから、僕はコーナーでできるだけタイムを稼いで、近づかせないようにした。でも、そうすればタイヤが傷む。でも、僕たちが勝つにはそれしかなかった」

 案の定、ガスリーのタイヤは自分たちが想像していたよりも早く終わり、「最後の数周は滑りまくっていた」と言う。しかし、それでもサインツがなかなかガスリーのDRS圏内に入ることができなかったのは、4周分のタイヤの寿命にあった。

■サインツにオーバーテイクさせないためのガスリーの戦略


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