2020年シーズンで5年目を迎えたハースF1チームと小松礼雄エンジニリングディレクター。第8戦イタリアGPではパワーユニット(PU)の規則変更が話題となったが、フェラーリ製PUを使うハースに影響はあったのか。またそのPUにトラブルが発生したが、次戦に向けた対策をとれたのだろうか。小松エンジニアが現場の事情をお伝えします。
──────────────────────
2020年F1第8戦イタリアGP
#8 ロマン・グロージャン 予選16番手/決勝12位
#20 ケビン・マグヌッセン 予選15番手/決勝リタイア
今回のイタリアGPからパワーユニット(PU)の規則が変更になり、予選から決勝までPUのICEのモードを変更できなくなりました。同一のモードで予選と決勝と戦うことになりましたが、今のところ、チーム内でのデメリットはありません。他メーカーのPUを使うチームに対してデメリットがあるかどうかも、まだはっきりとは把握していません。
PUモードの使い方を最終的に決定するのはもちろんフェラーリですが、僕もチームの立場から話し合いには参加しています。これはほぼすべてのことにも言えると思いますが、どんなレギュレーションの変更があったとしてもそれは全チームに適用されるので、普段から高いレベルで仕事をしている人たちがいちばんうまく対応できると思います。
もしメルセデスが現状で最高のPUを持っているとしたら、それは何シーズンにもわたる開発の結果であり、様々なプロセスも高い水準にあるはずです。ですから、このような変更にも高いクオリティで対応できるはずです。
決勝レースでは、残念ながらPUが原因でケビンがリタイアとなりました。かなり派手な壊れ方をしてしまいしたが、トラブルの原因はまだ明らかにはなっていません。
これでケビンは既にエンジンを2基失ってしまったことになります(1基目は第7戦ベルギーGPの金曜日)。ですからムジェロでは最終の3基目を入れます。モンツァで起こった問題の原因が解明されているわけではないので、3基目に何か対策がとられているわけではないので不安材料は残りますが、これが現状です。一方ロマンは今まで2基のエンジンを使ってきましたが、まだ問題は出ていません。