レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

F1 ニュース

投稿日: 2020.10.01 15:20
更新日: 2020.10.01 15:40

【F1第10戦無線レビュー】突然のペナルティに冷静さを失うハミルトン「そんなことルールブックのどこに載ってんだよ!!」

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


F1 | 【F1第10戦無線レビュー】突然のペナルティに冷静さを失うハミルトン「そんなことルールブックのどこに載ってんだよ!!」

 F1第10戦ロシアGP決勝は、スタート練習時の違反によってルイス・ハミルトンに10秒のペナルティが科され、いきなり優勝争いから脱落してしまった。そのときのメルセデスとハミルトンの無線のやりとりを振り返る。

————————-

 第10戦ロシアGPは、スタート前のレコノサンスラップで交わされた、あるドライバーとチームの無線を巡って、FIAが審議の対象にしたことで波乱の幕開けとなった。その無線とは、ルイス・ハミルトン(メルセデス)と担当レースエンジニアのボノことピーター・ボニントンの無線だ。

ハミルトン:ここ(みんながスタート練習しているピットレーン出口)はタイヤのラバーが乗りすぎているから、もう少し前に出てもいい?

ボニントン:わかった、いいよ。

ハミルトン:ピットウォールの出口あたりまで、いい?

ボニントン:了解。他のマシンに気をつけてスタート練習してくれ

 レース後、トラックサイド・エンジニアリングディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは、今回このような事態を招いた理由を「あの時ルイスは、もう少し先に行ってもいいかとだけ尋ねた」と言い、ドライバーとチーム側との間のコミュニケーション不足にしている。

 しかし、無線でハミルトンはハッキリと「ピットウォールの出口あたりまで」と語っている。

 すると、ショブリンは「我々にはルイスの1回目のスタート練習は見えなかった」と弁解した。

 しかし、映像がなくとも、それがどこかはだいたいわかりそうなものだ。繰り返すが、ハミルトンは「ピットウォールの出口あたりまで」と語っていたからだ。

 ピットウォールというのは、本コースとピットレーンを分け隔てている壁のことで、通常のサーキットの場合、ピットレーン出口付近までしかない。ところが、ソチ・オートドロームはコースの形状を考慮して、ピットレーンから本コースに合流する地点を1コーナーを過ぎた後に設定しているため、ピットウォールもそこまで100m以上も伸ばされている。

 つまり、「ピットウォールの出口あたりまで」というのは、ちょっと先のことではなく、ピットレーンを出て、少なくとも100m走ったあたりだということは、現場にいるF1チームのスタッフなら、わかっていたはずだ。しかも、マシンにはGPSが搭載されている。

 にもかかわらず、ショブリンは「そして2度目に見た時に思った。彼ら(スチュワード)はよくは思わないだろうと」と言い、チーム側がハミルトンが2回目のスタート練習に対して、なんの注意も行っていなかったことを認めた。

 さらにショブリンはこう続ける。
「だが、そのことが危険だとは思わなかった」

 しかし、ハミルトンがスタート練習していた場所はマシンが全開で本コースに合流する直前の場所で、時速約200kmで走行している場所。危険だと思わないほうがどうかしている。

 こうしたチーム側の判断ミスの結果、ハミルトンは10秒ペナルティを科せられることになる。気になるのは、ペナルティを科せられたのは7周目だったが、それをハミルトンに無線で伝えたのが10周目だったことだ。3周の間、何をメルセデス陣営はためらっていたのか。

ボニントン:ルイス、スタートに関する違反で10秒のタイムペナルティを科せられた

ハミルトン:なんで?

ボニントン:…………

ハミルトン:なんでだって、聞いてんだよ?

ボニントン:ゴメン、ルイス。う~ん、なんというか、そうだな、正しい位置でスタート練習しなかったことでの違反だ。それで5秒のペナルティを2回喰らってしまった

ハミルトン:*******

ハミルトン:そんなことルールブックのどこに載ってんだよ!!

■次のページへ:チームとハミルトンはレース戦略でも食い違い


関連のニュース