メルセデスのルイス・ハミルトンはF1史上最多タイの91勝を挙げ、これからもさまざまな記録を更新していこうとしている。しかし3度のF1チャンピオン、ジャッキー・スチュワートは、記録によってハミルトンをF1史上最も偉大なドライバーとみなすことに否定的な考えを示した。
2020年第11戦アイフェルGPでの勝利により、ハミルトンはミハエル・シューマッハーが打ち立てた91回のF1最多優勝記録に並び、早ければ翌シーズンには、たやすく100勝を上回ることにもなりそうだ。今年ハミルトンは7度目のF1世界タイトルを獲得する可能性が高く、そうなればシューマッハーが持つ最多タイトル獲得記録に並ぶことになる。
「どのスポーツでも、過去や現在で誰が最高かという意見があるけれど、比較するのはほとんど不可能だと思う」とハミルトンは語った。
「誰がそうで誰がそうでないかといった類の話はすべて、僕にとっては重要ではない。重要なのは過程だ。僕らがそこに至るまでに何をしたか、どのような障害に直面したかということ。そして誰もが異なる道のりを経ている」
史上最高のF1ドライバーは誰なのかを考えるとき、異なる時代を戦ったドライバー同士を比較するのは難しい。近年では1シーズンに約20戦が開催されているが、1950年代はほとんどのシーズンが7戦や8戦、あるいは9戦で構成されていた。1960年代は9戦から12戦であり、1970年代は最多で16戦だった。
5度のF1世界王者のファン・マヌエル・ファンジオは、参戦した51戦中24戦で優勝しており、その勝率は47.06パーセントだ。3度の世界王者ジャッキー・スチュワートは99戦中27戦で優勝し、勝率は27.27パーセント。199回の出走中51戦で優勝した4度の世界王者アラン・プロストの勝率は、25.62パーセントとなる。
ミハエル・シューマッハーは307戦中91戦で優勝、勝率は29.64パーセントであるが、2010年にメルセデスからF1に復帰していなかった場合、この数字は大きく異なるものになっていた。シューマッハーが2006年末で引退した時点での記録は249戦中91勝であり、勝率は36.54パーセントだったのだ。復帰した2010年から2012年までの3年間で、彼はメルセデスから58戦のF1に参戦したが、優勝は一度もしていない。実際、その3年間でシューマッハーが表彰台に登壇したのは、2012年のヨーロッパGP(バレンシア)で3位を獲得した際の一回だけだ。
メルセデスは当時チームを築き上げている最中だった。2013年にシューマッハーに代わってハミルトンが加入、その翌年2014年からメルセデスは常勝チームになった。