2020年F1アイフェルGPにレッドブル・レーシングは大幅なアップデートを投入した。F1技術解説アイフェルGP編(1)ではリヤサスペンションの変更に注目したが、マシン前部に目を移すと、サイドミラー取り付け部の形状が変化したのがわかる。
黄色矢印が示すように、以前は湾曲していた部分が完全に直角になっている。さらにミラー上部のヘイローにはウイングレットが加えられた(赤矢印参照)。位置はやや違うものの、ハンガリーGPでルノーが投入したアイデアを踏襲したのだろう。
リヤサスペンションの見直しを含む最新のアップデートで、レッドブルは相対的な戦闘力を上げたのだろうか。確かにニュルブルクリンクでのメルセデスとのパフォーマンス差は、今季最も縮まっている。予選でのベストラップ比較ではメルセデスW11とのタイム差がニュルブルクリンクではわずか0.198秒だったのに対し、ソチでは0.563秒、ムジェロでは0.327秒、モンツァでは0.831秒、スパ・フランコルシャンでは0.526秒、カタルニアでは0.708秒、シルバーストンでは1.022秒、ハンガロリングでは1.402秒、レッドブルリンクでは0.538秒で、違いは明らかである。
ただしニュルブルクリンクでメルセデスとの差を縮めたのは、レッドブルだけではなかった。ほぼ全チームが、今季それまでのレースより良好な数値を示している。ということはむしろメルセデスの方がニュルブルクリンクの週末に、本来のパフォーマンスを発揮できなかったと考えるのが妥当かもしれない。初日フリー走行が2セッションともキャンセルされた影響を、メルセデスが一番多く受けたということか。
従ってレッドブルが今回のアップデートでどれほど進化したのかは、今週末のポルトガルGP以降で確認した方がよさそうだ。