「今までにない、変わった予選でした」。予選終了後の囲み会見で、ホンダF1の田辺豊治テクニカルディレクターは開口一番、そう語った。難しい状況のなか、それでもマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)はメルセデスとの差をかなり詰め、初日にパワーユニット(PU)トラブルに見舞われたピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)もQ3進出を果たした。
一方、レース現場では、ホンダ撤退後の2022年以降のレッドブルとアルファタウリの動向が、大きな話題となっている。ホンダはどんな見解を持っているのか。山本雅史マネージングディレクターが答えてくれた。
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──各チームが、手こずった予選になったのではないでしょうか?
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):今までにない、変わった予選でした。タイヤ温度をいかに作動域に入れるか、最適なコンパウンドはどれか、各チームがいろんなトライをしていました。
メルセデスとフェラーリの1台がミディアムで予選Q2を通過するなか、レッドブルは終始ソフトで戦った。スタートの際に履くタイヤがどこまで保つのか、次に何を履くべきか。見えない部分が多いです。そこは策を練りながら、ドライバーと情報交換しながら、いつもと同じですが4台完走、4台入賞を目指します。
──ガスリーのトラブルに関して、その後わかったことはありますか?
田辺TD:あまりにダメージがひどく、消火剤もかかっているために、確認作業は全然進んでいない状況です。そんなひどい損傷を負ったマシンを、チームメンバーは頑張って修復してくれ、それに応えるようにガスリー選手もいい走りをしてくれました。ただQ2までは非常にいい感じだったのですが、Q3ではクルマがまとまらなかった。風の影響もあったようですね。
──今季最もメルセデスに接近できた予選だったと思いますが、田辺さんはどう分析してますか。
田辺TD:コンパウンドも違ったりしていますし、単純な比較はできない。日々の開発が結果に結びついて、メルセデスに近づいているのかなと思います。ただし追いついて、追い越せてはいない。まだ、いっそうの努力が必要です。
──モニター表示では風向きが非常に変わりやすかったようですが、現場ではどうでしたか。
田辺TD:ドライバーもチームも、そこに翻弄されている印象です。「ストレートスピードが伸びない」と言っていたのが、風向きや風速が大きく変わったからだったり。ひどい風ではないのですが、180度風向きが変わるところもあって、出走タイミングで影響を受けたようですね。