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F1 ニュース

投稿日: 2020.12.06 17:39

レッドブル・ホンダ分析:タイヤ戦略、チーム力が大きく影響した予選。Q1&Q2通過タイムを見誤ったか

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F1 | レッドブル・ホンダ分析:タイヤ戦略、チーム力が大きく影響した予選。Q1&Q2通過タイムを見誤ったか

 前戦バーレーンGPの決勝レースでは、ピットストップ戦略で、積極性に欠ける判断を下してマックス・フェルスタッペンが勝利に挑むことができなかったレッドブル・ホンダ。1週間後の第16戦サクヒールGPの予選では、タイヤ戦略でメルセデスに対して、やや後手に回ってポールポジションを逃す結果となった。

 予選に向けた戦いは、すでにフリー走行3回目から始まっている。このセッションで大切なことは、ドライバーがマシンの限界と、タイヤの熱の入れ方を確認しておくことだ。

 その方法はチームやドライバー、そしてサーキットによっても異なるが、多くの場合、ソフトタイヤを2セット使用する。これは1セットのソフトタイヤだけで限界を探り、タイヤの熱の入れ方を確認するのは難しいためだ。メルセデスだけでなく、マクラーレン、アルファロメオ、フェラーリ(シャルル・ルクレールのみ)、ハース、ウイリアムズの6チームがこのプログラムでフリー走行3回目に臨んだ。

 一方、レッドブル・ホンダの2台はこの6チームとは異なるプログラムで予選前の最後のセッションを過ごした。しかも、チームメート同士でも違ったプログラムを採った。

 フェルスタッペンはハードタイヤでまず13周のロングランを行ってから、ソフトタイヤで予選シミュレーションを行った。

 驚いたのはアレクサンダー・アルボンのプログラム。セッション序盤はフェルスタッペンと同様、ハードタイヤでロングランをしていたが、一旦ピットインし、セッション後半に履き替えたタイヤがなんとミディアムだった。セッションの前半にソフト以外のタイヤを履いたチームはレッドブル・ホンダ以外にもあるが、まったくソフトタイヤを履かずに予選前の最後のセッションを終えたのは、アルボンだけだった。その理由をアルボンはこう説明する。

「今日のフリー走行3回目では、予選に向けてソフトタイヤを温存し、ミディアムタイヤで走るようにした」

 ミディアムタイヤにもかかわらず、フリー走行3回目を6番手で終えていたアルボンは「マシンに満足していて、予選ではいい結果が出せそう」な予感を持って予選に臨んだ。

アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第16戦サクヒールGP アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)

 しかし、予選でソフトタイヤを装着してコースインすると、「マシンバランスがフリー走行3回目とかなり違い、コーナーの進入でアンダーステア、出口でスナップオーバーステアになって、思うようにアクセルを踏めなかった」(アルボン)と言う。

 アルボンはQ2でトップ10に入ることができず、予選12番手に終わったが、むしろこれは不幸中の幸い。というのも、アルボンはQ1で敗退する可能性すらあった。アルボンは1回目のアタックで54秒620を出して7番手につけていたが、ライバルたちが2回目のアタックを開始するとタイムが一気に向上。しかし、レッドブル・ホンダはアルボンをコースに送り出すことはしなかった。結果的にアルボンは15番手でQ1を通過したが、16番手のケビン・マグヌッセン(ハース)との差は、1000分の75秒差だった。

 つまり、この日のレッドブル・ホンダは、Q1の通過ラインタイムを見誤っていた可能性がある。

 これはQ2での戦いでも感じられた。Q1を2番手で通過したフェルスタッペンは、Q2で予定通りミディアムタイヤを履いてアタックを開始。ライバルのメルセデス勢が53秒8をマークしていたのに対して、フェルスタッペンは54秒006だった。わずかコンマ2秒の差だが、1周が短いサクヒールGPのアウターコースではこのコンマ2秒は決して小さくない。

 しかも、フェルスタッペンはミディアムタイヤでのアタックでもう少し速いタイムを刻むことができていた可能性があっただけに悔やまれる。というのも、メルセデス勢が1アタックでタイムを出しに行ったのに対して、フェルスタッペンは2回アタックしていたからだ。つまり、燃料搭載量をもう少し軽くしていれば、フェルスタッペンもミディアムで53秒台に入っていたことは、Q3でメルセデス勢に肉薄していたことからもわかる。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第16戦サクヒールGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

 Q3では、「ポールポジションの可能性もあった」とフェルスタッペンは言う。しかし、1000分56秒及ばなかったのは、またもタイヤ戦略だった。

 通常Q3でトップチームは新品のソフトタイヤを2セット使用する。フェルスタッペンはそうしたが、今度はメルセデスがいつもとは異なる戦い方をしてきた。それは中古のソフトで1回目のアタックを行い、その後、新品のソフトタイヤを2セット投入するという作戦だ。中古のソフトを履いたのは、Q2をミディアムでアタックしていたため、ソフトに履き替えたときのバランス変化と路面の最新状況を確認するためだ。通常のグランプリでは時間が足りなくなるため行えないが、サクヒールGPは1周が短いために、3アタックが可能だった。

 つまり、メルセデスはQ3で1回練習アタックをしてから本番アタックを2回行ったのに対して、フェルスタッペンはいきなり本番となり、1回目のアタックで暫定ポールポジションのバルテリ・ボッタス(メルセデス)にコンマ2秒の差をつけられ、「あの時点で逆転は難しいと悟った」(フェルスタッペン)という。

 それでも、最後のアタックでボッタスに0.056秒差まで迫ったフェルスタッペン。その差はマシン、ドライバー、パワーユニットだけでなく、どのような戦略を採用するかというチーム力も大きく影響しているのを痛感した予選だった。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第16戦サクヒールGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第16戦サクヒールGP アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)とチーム代表クリスチャン・ホーナー
2020年F1第16戦サクヒールGP アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)とチーム代表クリスチャン・ホーナー
クリスチャン・ホーナー(レッドブル・ホンダ チーム代表)
2020年F1第16戦サクヒールGP クリスチャン・ホーナー(レッドブル・ホンダ チーム代表)


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