2020年シーズンのF1は、7月から12月までの6カ月で17戦を戦う超過密スケジュールを強いられた。だがそんななかでもF1初優勝、初の表彰台獲得など、嬉しい話題が相次いだ。
さらに2021年に向けては多くのドライバーが移籍、あるいはシートを失うなど、ドライバーラインアップにも変更がある。そこで今回はautosport webでもおなじみのF1ジャーナリスト、尾張正博氏が2020年の初優勝や初表彰台、そしてドライバーの移籍に関する“違い”を振り返る。
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初優勝や初表彰台というのは、特別な雰囲気がある。表彰台の下で喜ぶスタッフの姿や、涙する者。国際映像には捉えきれない瞬間がいくつもあり、メディアセンターを出て、できるだけ彼らを近くで取材してきた。
最近では2019年第13戦ベルギーGPでのシャルル・ルクレール(フェラーリ)の初優勝と同年第9戦オーストリアGPでのホンダの復帰後、初優勝がそうだった。またその年の第20戦ブラジルGPでのピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)の初表彰台もなかなか良かった。日本人としては、2005年のマレーシアGPでのトヨタの初表彰台(ヤルノ・トゥルーリ)、2004年のマレーシアGPでのホンダ第3期の初表彰台(ジェンソン・バトン)も忘れられない。
そんな特別な瞬間が2020年は、何度も披露された。まず再開された開幕戦のオーストリアGPでランド・ノリス(マクラーレン)が初めて3位表彰台を獲得。第8戦イタリアGPではガスリーが歓喜の初優勝。これはホンダにとってもトロロッソ時代からパートナーを組んで50戦目となる節目のレースでのうれしい勝利となった。
第9戦トスカーナGPではアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)がうれしい初表彰台を獲得。第11戦アイフェルGPではダニエル・リカルドが移籍後、初となる表彰台をルノーにプレゼントした。そして、第16戦サクヒールGPではセルジオ・ペレス(レーシングポイント)が涙の初優勝。無線から聞こえてくるペレスの涙声に思わず、目頭が熱くなった。
ちなみに1シーズンでふたりが初優勝を遂げたのは、2012年のニコ・ロズベルグ(第3戦中国GP)、パストール・マルドナド(第5戦スペインGP)以来、8年ぶりだった。