マックス・フェルスタッペンがリモート囲み取材に応じたのは、レッドブルの2021年新車『RB16B』のシェイクダウンを行った直後のことだった。当然ながら質疑応答では、ニューマシンの感触に関する質問が集中した。昨年のRB16は不安定な挙動が問題になっていただけに、今季はどこまで改善できているのか。
とはいえフェルスタッペンの口振りは、時折り冗談を交えながらも素っ気ないものだった。デモ用の固いタイヤでの、わずか100kmの走行では、まだ何も見えないというのが正直なところだろう。しかし来月バーレーンでの開幕直前テストでRB16Bの真価を見極めたい熱い気持ちは、十分に伝わってきた。
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──今回のシェイクダウンでは、わずかな距離しか走っていませんが、そこから見えたこともあるのでは?
マックス・フェルスタッペン(以下フェルスタッペン):どうだろう。何しろタイヤも、デモ用のものだったからね。レース用のタイヤとは、まったく感触が違う。この初走行で感じたことを基に、何かを考えることはない。大事なのは、何周か走ってみて、普通に感じたかどうかだけだ。バーレーン(の開幕前テスト)でレースタイヤを履いた時に、何が起きるのかを見極めることが重要だ。今回はとにかく新車をコースに引っ張り出して、100kmを走りたかった。エンジニアたちはデータを得られたし、僕はF1マシンに戻ってくることができた。
──今季のRB16Bは、去年型RB16の進化モデルです。外から見て違いは感じますか。
フェルスタッペン:ないんじゃない? 5年前のレッドブルと比べても、同じかも(笑)。それは冗談だけど、去年のクルマの発展形なのは間違いない。でも僕にとって重要なのは外見じゃなくて、速いかどうかだけだからね。
──レッドブルは新車を投入した序盤は苦戦するパターンが続いています。その意味では、知り尽くした去年型の進化版を開幕から走らせるのは、大きなアドバンテージになるのでは?
フェルスタッペン:大きな違いはないといっても、フロア後部が削られたことでダウンフォース量はかなり減っているはずだ。その条件で、はたしてどのマシンがベストパフォーマンスを発揮するのか。その辺りも今後のテストで、見極めたいところだね。去年はメルセデスがシーズンを通じて最高のマシンだった。何としても、追いつかないと。
──去年は何度も、「もっとパワーがほしい」と訴えていました。そのあたり、今季は改善されている?
フェルスタッペン:大きなステップアップを果たしているはずだ。ただ厳しい競争の世界だからね。ライバルたちも、もちろん休んでいないわけだし。