3月12日(金)、ホンダF1の山本雅史マネージングディレクターがリモートで行われた囲み取材に出席し、2021年シーズンに向けた“新骨格”パワーユニット(PU)の準備状況や、7年ぶりの日本人F1ドライバーである角田裕毅への期待を語った。
2021年はホンダがレッドブルとタッグを組んで3年目、アルファタウリとは前身のトロロッソ時代を含め4年目となる。2020年はレッドブルのマックス・フェルスタッペンが2勝を挙げ、アルファタウリではホンダと組んで50戦目という節目のレースでピエール・ガスリーがF1初優勝を飾った。最終戦アブダビGPではフェルスタッペンがポール・トゥ・ウインを飾ったこともあり、2021年に向けて非常に良い流れでシーズンを終えたと言えるだろう。
だがその2021年は、ホンダのF1最終年となる。何としてでもタイトル獲得を目指す1年になるが、このオフの間は新骨格のPUの準備に時間を割いていたと山本MDは明かした。
「最後の年ということで、当初は(投入を)先送りにしていた新骨格のパワーユニットを急きょ昨シーズンの途中に復活させて、HRD Sakuraではその準備に明け暮れていました。新骨格にした以上、メルセデスに追いつけ追い越せということで、パワーアップと信頼性の両方を確立させる準備をしていました」
「もちろん昨年のようにメルセデスがホンダの予測以上にアップデートすることもないとは言えないと思いますが、昨年の反省を踏まえて、最後の年として戦い切れるようにパワーも出てきています。信頼性の部分はまだ100%とは言いませんが、今日から始まったバーレーンテスト、そしてシーズンの序盤戦を何とか切り抜けられるようにSakuraの浅木(泰昭/ホンダF1のPU開発総責任者)を中心に検討していただいています」
この新骨格のPUとは、ホンダが本来2022年に投入しようとしていたものを前倒したもの。山本MDによれば「燃焼室を高効率化してパワーアップを目指したこと、クランクケースやシリンダーなどの作りの考え方を根本から変えていることが新骨格の定義。簡単に言えば、すでに成熟しているMGU-K以外は、材料から何から見直して作り変えた」という。
その新骨格PUを搭載するレッドブルとアルファタウリのマシンには、今年はホンダのロゴが大きく掲載されている。特にリヤウイングの両面という非常に目立つところにロゴがあるが、これにはホンダとレッドブル、アルファタウリとの良い関係性が現れているのだそうだ。
「実は去年の夏からクリスチャン(ホーナー/レッドブルのチーム代表)やフランツ(トスト/アルファタウリのチーム代表)と、もしタイトルスポンサーがつかなかったら、4台とも後ろから見たときにホンダのロゴが見えるようにして有終の美を飾れないかと個人的に話をしていました」
「結果的に彼らにはタイトルスポンサーがつかなかったので、リヤにホンダのロゴを貼ってくれました。それからフロントにもつけようかという話になって、議論の末にこうなりました」
「私はもともと、最終年にホンダが前に出ていけるようにしたかったんです。(ロゴを掲載するのに)お金は払っていません。いい信頼関係だと思っていただければ嬉しいです。彼らも最後の年は『やり切りたい』と年末から言っていて、(ヘルムート)マルコさんが『前にも(ロゴを)貼るよ』と言ってくれたので感謝です」