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F1 ニュース

投稿日: 2021.03.21 12:00
更新日: 2021.03.24 14:43

総合2番手タイムが光った角田と、新型マシン『AT02』の理解を深めたガスリー/F1チームメイト比較(1)

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F1 | 総合2番手タイムが光った角田と、新型マシン『AT02』の理解を深めたガスリー/F1チームメイト比較(1)

 バーレーン・インターナショナル・サーキットで行われたプレシーズンテストを終え、現在はチーム、ドライバーともに同地で行われる2021年シーズンの開幕戦に備えているところだろう。今回はテストで見えた各チームのドライバーふたりのパフォーマンスを比較。連載第1回は、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーと角田裕毅だ。

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 角田裕毅の2番手が、まずは光る。ベストタイムとなる1分29秒053は、2020年のバーレーンGPの予選だと、Q1を楽に突破して、Q2でも11番手となるタイム。Q2で10番手だったピエール・ガスリーの1分29秒008とは0.045秒差となる堂々たるタイムだった。

 ただし、角田が自己ベストを記録したときに履いていたタイヤが、最も柔らかい『C5』だったことも忘れてはならない。昨年のバーレーンGPで使用されたタイヤはC2、C3、そしてC4だった。これは今年の開幕戦のバーレーンGPも同様。つまり、角田は実際には投入されることがない1段階柔らかいコンパウンドを使用したことになる。

 もちろん、そこにはC5が投入される予定となっているモナコGPなどの市街地サーキットに備えて、C5のグリップ力を経験しておくという狙いもあったわけで、バーレーンGPで使用することがないC5を装着したことがまったく意味がなかったわけではない。しかし、角田の2番手というポジションを額面通りに受け取るのが早計だというのも事実だ。

2021年F1プレシーズンテスト3日目 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)とチーム代表フランツ・トスト
2021年F1プレシーズンテスト3日目 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)とチーム代表フランツ・トスト

 一方、ガスリーの自己ベストも角田同様、C5だった。そのタイムは1分30秒413で、角田とのタイム差は1.36秒ある。ただし、ガスリーが自己ベストを記録したのは2日目で、ジョナサン・エドルズ(チーフレースエンジニア)によれば、3日目のほうが2日目より「路面温度が低くて風も弱く、3日間の中で最もコースの状態が良かった」というから、ガスリーが3日目にタイムアタックを行っていたら、もう少し速かったことは間違いないだろう。

 ちなみにガスリーの自己ベストである1分30秒413は、その日の2番手のタイム。このときトップタイムをマークしたのがメルセデスのバルテリ・ボッタスで、タイムは1分30秒289。タイヤは同じC5だった。つまり、メルセデスに昨年と同様の速さがあると仮定した場合、3日目にC4でトップタイムをマークしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)にコンマ1秒遅れた角田より、同じタイヤでトップとコンマ2秒差に迫ったガスリーのほうが有望といえる。

2021年F1プレシーズンテスト2日目 ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1プレシーズンテスト2日目 ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)

 また気になるのは、チームのマシンセットアップがガスリー中心に動いていること。たとえば2日目のセッション後、エドルズは「午後からはピエール(ガスリー)がロングランとパフォーマンスランを行い、2021年のタイヤとそれに最適化したマシンのセットアップを学んだ。今夜、興味深い方向性を見つけたので、明日はこれらを探ろうと思う」と語っていた。

 そして、3日目のテスト終了後には「今日、ピエールはバランスを改善するためのプログラムに集中してもらった。通常、週末のレースでは実施できないようなテストを行い、充実したデータを収集できた。また新しいタイヤのコンパウンドについてもロングランで理解を深めることができた」と、新車のセットアップに関してガスリーとさまざまなトライをしていることがわかる。

 ベストタイムで11位に終わったものの、ガスリーも「予定していたプログラムをすべて完了し、あらゆることに対して理解を深めることができた」と、角田の2番手に動じていない様子だった。

 そのことは、角田もわかっている。

「コンディションに応じて走り方を使い分けることでタイムを出しにいっている」と、ガスリーは自分にはない走り方も兼ね備えていることを認めた。

 今後、角田がガスリーに近づき、追い越すにはドライバーとしての技術を向上させるだけでなく、チームからの信頼を勝ち取り、自分に合わせたマシン作りを行ってもらう雰囲気づくりが大切となるだろう。

 もちろん、今回のテストで角田が2番手のタイムを出せたことは悪くない第一歩だった。しかし、トップドライバーとして、歩むべき道のりがまだまだ長いことも思い知らされた初テストだった。

▼データ
■角田裕毅
【ベストタイム】
全体:2番手 1分29秒053 C5
1日目:9番手 1分32秒727 37周 C2
2日目:11番手 1分32秒684 57周 C4
3日目:2番手 1分29秒053 91周 C5

【走行距離】
11番手 185周(1001km)

■ピエール・ガスリー
【ベストタイム】
全体:11番手 1分30秒413 C5
1日目:8番手 1分32秒231 74周 C3
2日目:2番手 1分30秒413 87周 C5
3日目:12番手 1分30秒828 76周 C4

【走行距離】
1番手 237周(1282km)

角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1プレシーズンテスト3日目 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1プレシーズンテスト2日目 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
角田裕毅&ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1プレシーズンテスト1日目 角田裕毅&ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1プレシーズンテスト2日目 ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1プレシーズンテスト2日目 ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1プレシーズンテスト1日目 エアロレイクを装着したマシンで走行するピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)


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