2週間前のバーレーンテストでは、王者メルセデスに去年までの強さは見られなかった。それに対して最速タイムを叩き出したレッドブル・ホンダが、一躍タイトル獲得の最有力候補に浮上した。
しかし開幕直前の気持ちを訊かれたホンダF1の田辺豊治テクニカルディレクターは、「レース週末はいつも不安に怯えてます」と、正直な気持ちを告白。一方で、「悔いのない気持ちで戦い抜きたい」と、ラストイヤーへの思いを語っていた。
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──ホンダにとって最後のシーズンが開幕します。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):そうですね。最終年ということで、1戦1戦悔いのないように戦っていきたいですね。同じバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われた2週間前のテストでは、2チーム4人のドライバーとも大きなトラブルなく周回を重ねて、膨大なデータを収集できました。そこからは今日までデータ解析、いくつか出てきた課題の対策、今週末に向けてのパワーユニット(PU)の最適化などの作業に没頭していました。
──今年は開幕戦がいきなりトワイライトレースです。
田辺TD:非常に特殊なレースですよね。金曜、土曜のフリー走行は炎天下の灼熱の環境で、気温30度を超える。そして決勝レースは、気温がガンと落ちる。そのコンディション変化への適応が難しい。ただ今年は事前に3日間、朝から日没後まで走ったことで、冷却やPU設定などの準備は進めやすかったかなと思います。
──今年から初日フリー走行が30分短縮されて60分になります。パワーユニットメーカーとしては、どれほどの影響がありますか?
田辺TD:30分短くなると、走り初めから終了までのプログラムの密度が高くなりますね。今までの3分の2の時間で、車体、PUのセッティングの煮詰めなど、やることは同じですから。その分現場は、かなり忙しくなります。トラブルが出た場合、今まで以上に迅速が対応をしないといけない。コースコンディションに合わせた最適化も、素早さが求められます。
──メルセデスとアストンマーティンは、テストではパワーを抑えて走っていたのではないかという話が出ています。レッドブルから出たコメントなので、おそらくGPS解析でそう推測したのだと思います。ホンダとしては、その辺りをどう見ていますか。
田辺TD:そんな話もありますが、実際に開幕戦を走ってみないとわからないですね。チームともその件を話しましたけど、テストで他のチームが本当にやっていたことはなかなかわからないですし。燃料搭載量も走り方もわからないので、そんな使い方もしていたのかなという程度です。PUメーカーとしてはどちらがよりパワーが出てたのかという話にもなりますが、それも同じくこの週末が終わるのを待つしかないですね。