2021年F1開幕戦バーレーンGPのアルファタウリ・ホンダは、予選ではピエール・ガスリーが5番グリッドを獲得。ルーキー角田裕毅はQ2でミディアムタイヤを使いこなせず13番手に終わったものの、Q1ではルイス・ハミルトン(メルセデス)らを抑えて総合2番手につける速さを見せた。
決勝レースでのガスリーは序盤の接触事故で最下位に沈み、最終的にリタイアでレースを終えた。一方の角田は果敢なオーバーテイクを繰り返し、9位入賞を果たした。
この結果についてホンダの本橋正充チーフエンジニアは、「マシンの持つ本来のパフォーマンスを発揮できた週末だった」と総括した。そして角田に対しては、「僕らもびっくりするくらい、パワーユニットをしっかり使ってくれた印象です」と、手放しで称賛していた。
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──開幕戦を終えて、アルファタウリ・ホンダの戦闘力は昨年に比べて底上げされていると感じましたか。
本橋正充チーフエンジニア(以下、本橋CE):中団グループの戦いは、今年も非常に接戦になると思います。ただそのなかでも、開幕戦では予選、レース両方とも、ある程度のパフォーマンスを発揮できている。それを見ると、昨年よりはいいかなと感じています。
──予選一発の速さを見ると、中団勢のなかでもかなり上に位置しているのではないかという印象ですが。
本橋CE:テストを終えた後のデータ解析は車体側も進んだようで、セットアップも決まっていましたね。このマシンパッケージの持つ本来のパフォーマンスを、この週末は発揮できたのではないかと思います。
──予選直前のフリー走行3回目(FP3)で、角田選手とエンジニアの間で「ちょっとパワーが出ていない」というやりとりがありました。実際にパワーユニット(PU)側に何か問題が出ていたのですか?
本橋CE:FP3では予選に向けて最大限のパワーを発揮するべく、セットアップ作業を進めていました。そのチューニングを進める過程で、何かあったのかもしれません。
──角田選手のパワーユニットの使い方に関して、テストからレース本番にかけて、さらに進歩を感じたところはありましたか。
本橋CE:年明けのプライベートテストからすでに、F1特有の回生エネルギーの使い方とか、どのスイッチをいじったらどう変化するかとか、かなり集中して練習していました。その成果が出たというか、レース本番でもオーバーテイクの際に積極的にスイッチをいじって戦っていました。今までやってきた努力をしっかり活かしていましたね。
──デビュー戦だっただけに、表には出ないミスというか、改善点もありましたか。
本橋CE:そうですね。細かいところを挙げていけば、いくつかあります。最終的なチューニングとか、そこは彼の方からもっと遠慮なく言ってもらえれば、我々ももう少し細かいところまでセッティングできる。ただ全般的には僕らもびっくりするくらい、回生エネルギーのコントロールとかをきちんとやってくれていました。最初のレースから、パワーユニットをしっかり使ってくれた印象です。