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F1 ニュース

投稿日: 2021.04.02 12:12
更新日: 2021.04.02 12:16

英国人ライターのF1ルーキーペア観察日記/バーレーン編:惨憺たるデビュー戦。マゼピンが示した自分への強い怒り

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F1 | 英国人ライターのF1ルーキーペア観察日記/バーレーン編:惨憺たるデビュー戦。マゼピンが示した自分への強い怒り

 2021年F1にデビューするミック・シューマッハーとニキータ・マゼピンは、ともにハースF1チームで初めてのシーズンを送る。ふたりはどのように学び、つまずき、成長していくのか。キャラクターの異なるふたりのルーキーのデビューシーズンを、英国人ジャーナリスト、クリス・メッドランド氏が観察していく。

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 開幕戦バーレーンGPを終えて分かったのは、今年はハースにとって長く厳しいシーズンになるということだ。ふたりのルーキードライバーは非常に苦労するだろう。とりわけミスを犯した場合には……。

 今年のミック・シューマッハーとニキータ・マゼピンに大きな期待はかけられていない。ハースの2021年型マシンに競争力がなく、グリッド後方に沈むだろうことを誰もが知っているからだ。ふたりにとって今年は、とにかく経験を積んで向上し、マシンのパフォーマンスが改善することが期待される2022年への準備を整えるための時間なのだ。

 しかしハースのひとりは、開幕戦を低調のまま終え、最初の基準点をかなり低い位置に刻むことになった。彼はここから大幅に改善していかなければならない。

 マゼピンはこの冬の間の一件で激しい批判を受けてきた。だからこそ、自分を叩く理由を誰にも与えないために、開幕戦を堅実に戦い、F1キャリアをいい形でスタートさせる必要があった。しかし残念ながら彼にとってのデビュー戦は堅実とはほど遠いものだった。

2021年F1第1戦バーレーンGP ミック・シューマッハー(ハース)
2021年F1第1戦バーレーンGP ミック・シューマッハー(ハース)

 FP3でスピンしたことは大きな問題ではない。彼はルーキーであり、マシンの限界を探っている最中だった。そしてあの時間帯は非常に風が強かった。だが予選Q1の最初のラップでマゼピンは再びスピンをした。ターン13で彼がスピンしたことで、後ろを走っていたシューマッハーの走りを邪魔することにもなった。

 この日、すでに2回スピンしたのだから、Q1最後のマゼピンにとって望ましいのは、確実にアタックラップを走り、しっかりタイムを出すことだった。しかし彼はその重要な局面で非常に不運な状況に陥った。

 Q1終盤では、アウトラップを走るドライバーたちの間で渋滞が起こることがしばしばある。ひどいときには隊列の後ろを走るドライバーが時間切れとなり、アタックラップに入れないということが起こり得るのだ。マゼピンはそれを避けるため、チームの指示で、ドライバー間の紳士協定を破って、アタック開始直前に何台ものマシンをオーバーテイクした。

「僕はこのチームに所属するドライバーだ。無線で言われたとおりに行動するよう指示されている」とマゼピンは予選後に語った。

「スタート/フィニッシュラインを越えた時、残り時間は2秒だった。追い抜いていなければ、チェッカーフラッグを受けてしまっていただろう。待っている余裕はなかった」

「あの時僕は、大勢が連なって走っている列のなかにいた。(チームから)今行かないとセッションが終わってしまう、と言われた。(指示に従う)それ以外にどうすべきだった? 僕はチームから言われたことに従う。最終的にはそれが僕の仕事だからだ。不満に思っている人がいるなら申し訳ないけれど、僕はエンジニアのアドバイスに従っただけだ」

 真の問題は、マゼピンがターン1に入った時にスピンをしてしまったことだ。ブレーキ・バイ・ワイヤの問題が起きた影響だった。

 この一件については彼を気の毒に思う。ルーキーがチームの指示どおりに動くのは正しいことだ。そういう意味で、彼は、たとえ他のドライバーたちの怒りを買おうとも、オーバーテイクしていくしかなかった。そしてその後のスピンも彼のせいではない。

■次のページへ:数百メートルで終わった決勝「僕のミス。チームに申し訳ない」


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