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F1 ニュース

投稿日: 2021.04.29 18:24
更新日: 2021.04.29 18:27

【海外ライターのF1コラム】疑問点だらけの“スプリント予選”。エキサイティングな週末は実現するのか

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F1 | 【海外ライターのF1コラム】疑問点だらけの“スプリント予選”。エキサイティングな週末は実現するのか

 長年F1を取材しているベテランジャーナリストのルイス・バスコンセロス氏が、2021年F1において合計3戦に導入されることが決まった土曜スプリントレース(正式名称“スプリント予選”)について考察した。FIAが4月26日に発表したリリースを見る限り、多数の問題点が見えるとして、バスコンセロス氏は懸念を示している。

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 F1のモータースポーツ担当マネージングディレクターであるロス・ブラウンは、2022年に新たな技術レギュレーションを導入する前に、週末の新フォーマットを試すことを強く希望してきた。彼の願いがかない、2021年シーズンの3戦に限り、土曜にスプリントレースを行うことが決定したわけだが、長年F1を追ってきた情熱的なファンのなかには、これを受け入れられない思いでいる者もいるはずだ。

 ブラウンもF1のCEOであるステファノ・ドメニカリも、ファンからのネガティブな意見を真剣には受け止めず、単に新しいものへの拒否反応として扱うことだろう。だが、この新規則を分析すればするほど、天候が手を貸さない限り、新プランが裏目に出る可能性が高いという思いが強くなる。

 もちろん、私たちは先入観を持たずにこの3戦に臨む必要があるが、すでにシーズン開幕後だというのに、新フォーマットを実施する3戦のうち1戦しか確定していないことには違和感を覚える。今年は、開幕戦、第2戦と、グリッド上ベストのドライバー同士が素晴らしい優勝争いを繰り広げた。スプリントレースを導入するグランプリがこれ以上にエキサイティングなものになるという感触を、残念ながら私は持つことができない。

 新フォーマットの金曜は、午前にフリープラクティス、午後に予選が行われる。2020年のイモラの土曜のような感じだ。そして土曜午前のFP2では、FIAの26日の発表によると、タイヤ1セットを使用できる。ピレリの発表ではセット数に制限はないとされており、この点は不明瞭だが、1セットしか使用できない場合は、意味のある作業を行うことが難しく、ただパワーユニットとギヤボックスのマイレージを消費する形になりかねない。

2021年F1エミリア・ロマーニャGP ピレリタイヤ
2021年F1エミリア・ロマーニャGP ピレリタイヤ

 土曜のスプリントレースではピットストップの義務はないため、トラブルが発生しない限り、どのマシンもノンストップで走り切るだろう。100kmのレースはシルバーストンでいえば16周、モンツァでは17周に当たり、ピットストップのロスを取り戻す余地はないからだ。

■次のページへ:なぜ今年、新フォーマットを試さなければならないのか


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