各マシンの『素の速さ』が見えると言われるバルセロナ-カタロニア・サーキット。そこで開催された2021年F1第4戦スペインGPでのアルファタウリ・ホンダは、角田裕毅が予選16番手、レースはリタイア、ピエール・ガスリーも予選12番手から10位入賞と、今ひとつの結果だった。中団勢の実力差が昨年以上に拮抗していることが明らかになった今、「ちょっとした取りこぼしが、大きなロスになってしまう」と、ホンダF1の本橋正充チーフエンジニアは分析する。
一方で今回も結果を出せず、不本意な週末となってしまった角田については、「フィードバックは今まで同様高いレベルだし、前向きにやってくれている」と評価。その言葉からは温かな眼差しと、焦らず着実に成長してほしいという思いが、強く感じられた。
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──今回の2連戦で中団勢はいっそう熾烈な戦いになったことが明らかになった印象です。そんななかでアルファタウリは、ちょっと苦しい展開になっているのではないでしょうか?
本橋正充チーフエンジニア(以下、本橋CE):カタロニア・サーキットは、ある程度実力が見えるコースでした。そのなかでアルピーヌがポルトガルに続いて、予選一発では速さを見せた。中団グループのラップタイム差が拮抗するだろうことは予想していたのですが、実際にそうなりました。そういう状況では、ちょっとした取りこぼしが大きなロスになってしまいますね。
──実際に予選はかなりの接近戦でした。それが結果的に、大きなポイント差となってしまった?
本橋CE:そうですね。ここはなかなか抜けないコースで、数珠つなぎのまま走らざるをえない。その意味で予選順位が本当に大事でしたね。
──ピエール・ガスリーがスタート位置をはみ出したのも、手痛いミスでした。
本橋CE:彼にしては珍しいミスでした。
──一方の角田裕毅選手は、燃圧低下トラブルで初リタイアでした。初日にも電源シャットオフの症状が出ましたね。
本橋CE:はい。原因不明でしたし、その後は普通に走行できていました。縁石とか外的要因の影響も含め、調べているところです。
──燃圧低下に関しては、車体、パワーユニット(PU)、どちら側だったのですか?
本橋CE:それも現時点では不明です。燃料系は車体、エンジンの両方にまたがっていますから。