2021年シーズンで6年目を迎えたハースF1チームと小松礼雄エンジニアリングディレクター。シーズン4戦目となるスペインGPは、タイヤに厳しいバルセロナ-カタロニア・サーキットでの戦いだったが、ドライバーはふたりとも2ストップ戦略でしっかりと走り切った。
また今年は『スプリント予選レース』の導入が決まり、新たな試みが始まる。7月の第10戦イギリスGPを皮切りに3回の実施が予定されており、サーキットの最前線で戦う小松エンジニアは、この新フォーマットについてどう考えているのだろうか。ハースの現場の事情とともに、小松エンジニアがお届けします。
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2021年F1第4戦スペインGP
#9 ニキータ・マゼピン 予選20番手/決勝19位
#47 ミック・シューマッハー 予選18番手/決勝18位
今年はバーレーンでプレシーズンテストをしたので、バルセロナを走るのはこれが初めてとなりました。予選はミックがとてもよくやってくれ、初めてウイリアムズのニコラス・ラティフィを上回って18番手となりました。4戦目でこれを達成できたのは大きな成果だと思います。しかし、このラップはまだまだ完璧からはほど遠いラップだったので、これから伸びる余地は大いにあります。
レースではミックがスタートでポジションを落としたものの、1周目をうまくまとめ、ウイリアムズ勢2台の前に出ました。ただクルマのバランスが悪く、C3(ソフト)のリヤタイヤが厳しい状況で前を走るアルファロメオには突き放され、ウイリアムズに抜き返されるのも時間の問題のような状態でした。
その後の第2、第3スティントではクルマのバランスを調整して、ペースはよくなりました。特に誰も周りにいないフリーの状態で走っている時のタイムはよくて、第2スティント序盤はウイリアムズやセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)にも引けを取らないペースでした。しかし青旗が出てマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)やルイス・ハミルトン(メルセデス)に周回遅れにされた後はなかなかタイムを戻せませんでした。
C2(ミディアム)タイヤを履いた際のバランスがよかったので、2回目のピットストップでもミディアムを選択。ここでも走り出しのペースがよくて、同じタイミングでピットインしてソフトタイヤを履いたラティフィよりもいいペースで走れました。
ニキータも状況は同じで、ペースはミックに劣るものの最初のスティントはよくやってくれました。1回目のピットストップ後はミック同様に青旗もありましたが、ミックがクルマに対して自信を持って走っている時は、やっぱりふたりのペースの差は広がってしまいます。
2度目のピットストップをミックより早めに行ったのは、ランド・ノリス(マクラーレン)やセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)、カルロス・サインツJr.(フェラーリ)などが近づいてきていたので、青旗を掲示される前にタイヤ交換をしようと決めたからです(40周を超えていたので、すでにピットストップウインドウ内でした)。ただ第3スティントの走り出しのペースでもミックには敵わなかったので、このあたりは改善が必要です。