2021年F1第6戦アゼルバイジャンGP開催直前の木曜会見は、ある意味『心』がテーマだったかもしれない。まずはマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が、ルイス・ハミルトン(メルセデス)とのタイトル争いをめぐる『心理戦』について言及した。
今季ここまでのふたりは、5戦中4戦でバトルを繰り広げてきた。前戦モナコGPだけはハミルトンが7位に終わり、両者の直接対決はなかった。それでもレース後にはそれぞれ、お互いを十分に意識するコメントを発していた。
木曜会見に最初に登場したフェルスタッペンは、「ハミルトンとのマインドゲーム(心理戦)の準備はできているか」と訊かれると、「もし心理戦を仕掛けられても、別にどうってことはない」と語った。
「何よりルイスはそういうことはしたくないと、モナコのレース後に言っていたはずだ。もちろんレースの前後には、感情的になることはある。でも僕らはお互いを尊重している。それこそが、一番大事なことだと思うよ」
フェルスタッペンとハミルトンの間には、すでに数年前からお互いを尊重する気持ちは存在していたと思う。そしてそれはハミルトンが7回のタイトル獲得を始め数々の記録を塗り替え、フェルスタッペンが人間的にも成熟していったことで、いっそう深まった印象だ。
今週末のバクーはモナコと同じ市街地コースだが、コース特性はまったく違う。それもあって今回もレッドブル・ホンダが優位に立てるとは、フェルスタッペンも考えていない。
「通常のサーキットでは、依然としてメルセデスが強いと思うか」という問いに、フェルスタッペンは「絶対にそうだと思う」と即答した。ちなみに原語では「I do still think〜」という言い回しで、メルセデスの強さはそれほど骨身に染みているということなのだろう。