2021年F1第6戦アゼルバイジャンGPではピエール・ガスリーが3位、角田裕毅が7位でチェッカーを受け、アルファタウリ・ホンダが今季初のダブル入賞を果たした。ガスリーの表彰台は昨年のイタリアGPでの優勝以来、キャリア3度目。そして角田は開幕戦での9位以来となる2度目のポイント獲得だった。
チームはトロロッソ・ホンダ時代にアゼルバイジャンGPを2回戦っているが、ブレンドン・ハートレーの10位が最高位と、決して得意なコースではなかった。車体性能もさることながら、ホンダ製パワーユニット(PU)のパワー、エネルギー回生の非力さも否めなかった。しかし今季の新世代PUは、それらの問題を軽々とクリアしたように見える。「HRD Sakuraやミルトンキーンズの努力で、かなり高い戦闘力が発揮できた」と、レース後のホンダF1本橋正充チーフエンジニアは手応えを語っていた。
一方で角田についても、「バトルのなかでのスイッチ操作もミスなくやってくれた」と高く評価した。
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──今週末は初日から非常に好調でしたが、車体、パワーユニット(PU)共に順調に合わせ込みができていたということですか。
本橋正充チーフエンジニア(以下、本橋CE):そうですね。FP1から狙ったパフォーマンスというか、セッティングもいいところからスタートできたので、初日の間にファインチューニングもどんどんこなせましたね。
──PU側で言うと、このサーキットでは今までMGU-Hの性能やエネルギーマネージメントの点で苦労していました。必ずしも得意なサーキットではなかったと思います。新世代PUが投入されたことで、確かな進化を実感できましたか。
本橋CE:はい。エネマネに関しては確かに厄介なサーキットで、そこをHRD Sakuraやミルトンキーンズの努力によって、かなり高い戦闘力が発揮できたと思います。
──これは車体側の美点だと思いますが、映像を見ていてもアルファタウリは非常に安定した挙動ですね。
本橋CE:そう思います。ここでは特に全体的に安定してたし、いいパフォーマンスが発揮できたと思います。開幕戦バーレーンGPもそうでしたが、セッティングを振った場合に、その方向性がすぐに見える。そんな感じの週末でした。
──その後のイモラやポルティマオなど、路面グリップが低かったり、風の影響を受けやすいコンディションでは、手こずることが多かったです。今回はそういう感じではなかったのですか?
本橋CE:はい。いくつか弱いかなというコーナーはありましたけど、全体的にはバーレーンに続いて、良いパフォーマンスを発揮できた週末でした。ただ、よかったで済ませるのでなく、何がよかったのかをしっかり解析して、次に繋げたいということはチームとも話しました。
──ここはビル風が局所的に強く吹いたりしますが、その影響もそれほどは受けなかった?
本橋CE:風向きは大きく変わりませんでしたが、ブレーキングで追い風方向のコーナーではちょっと苦労しましたね。それほど多くはなかったですが。
──贅沢な要求かもしれませんが、一発の速さに比べると、レースペースがもう少しあると完璧だった?
本橋CE:う〜ん、そんなに悪くはないと思いますが、前にクルマがいたことの影響はどうしても受けていたし、タイヤマネージメントにもかなり気を付けていました。それを考慮すると、そんなに悪くなかったと思います。