2021年F1第6戦アゼルバイジャンGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察、印象に残った変更等について解説する。第2回では、同GPで行われたフレキシブルウイングの検査を取り上げる。
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レッドブルが不正に使っているのではと疑惑が浮上したフレキシブルウイング。ストレート走行中のドラッグ軽減のためにリヤウイングを規定以上にたわませていると、メルセデス、マクラーレンがFIAに調査を求めた問題だった。今週末のフランスGPからさらにコントロールが厳格化されることが決まったが、すでにアゼルバイジャンでもFIAは監視を強化していた。
現行レギュレーションでは、ウイングのたわみは静止状態で測定される。各サーキットの検査場で垂直水平の2方向にリヤウイングに荷重をかけ、1度以上のたわみが出ないかを確認する。しかし静止状態では規定範囲内でも、走行中に大きくたわんでいる疑惑が出たため、FIAは今回動体検査を導入した。
具体的にFIAは、どんな方法を取ったのか。たわみが可視化できるよう、直径1cmのシールを12枚、マシンのリヤウイングに貼らせたのだ。写真でわかるように、たとえばフェラーリのシールは緑色、レッドブルは白だった。それぞれリヤウイングのカラーリングに対応して、目立ちやすい色にしたのだろう。この状態でリヤウイングを車載カメラで撮影すれば、走行中にどれだけたわんでいるか把握できるというわけだ。
レッドブルはさらに初日フリー走行の際、チェッカーフラッグをかたどった独自のシールを投入した(赤丸囲み)。メルセデスとマクラーレンから最も強く疑われているからこそ、その疑惑を晴らしたいという思いだったのか。結局この2チームはレッドブルを正式に提訴することなく、アゼルバイジャンGPは無事に終了した。