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F1 ニュース

投稿日: 2021.07.01 20:54
更新日: 2021.07.01 20:55

【F1第8戦無線レビュー(2)】フェルスタッペン独走で4勝目。エンジニアも「完璧だ。他に言うことはないよ」と賞賛

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F1 | 【F1第8戦無線レビュー(2)】フェルスタッペン独走で4勝目。エンジニアも「完璧だ。他に言うことはないよ」と賞賛

 2021年F1第8戦シュタイアーマルクGPの決勝は、レースの折り返しを迎える前に上位勢が続々とピットインし、ここでタイヤ交換時のミスによりセルジオ・ペレスとバルテリ・ボッタスの順位が入れ替わった。さらに後方では角田裕毅がフェルナンド・アロンソを追いかける展開に。シュタイアーマルクGP後半の様子を無線とともに振り返る

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 上位勢は26周目のセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)、角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)を皮切りに、次々にタイヤ交換へとピットに向かった。ペレスは左リヤタイヤの交換に手間取り4秒8のロス。27周目にピットインしたバルテリ・ボッタス(メルセデス)に先行され、4番手に後退してしまう。
 
 28周目に2番手を走るルイス・ハミルトン(メルセデス)がピットイン。マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がこれに反応して、次周にピットに向かった。2秒0でハードに履き替え、コース復帰しようとするフェルスタッペンに、ジャンピエロ・ランビアーゼがハミルトンの位置を伝える。

ランビアーゼ:ストラット8、トルク9、ハミルトンはまだターン10だ

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2021年F1第8戦シュタイアーマルクGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

 フェルスタッペンは首位のままコース復帰に成功。ハードでの1周目を終え、ハミルトンとのギャップは4秒4だ。

ランビアーゼ:いい感じでタイヤを労ってる。でも長いスティントになるぞ

 この時点で、チェッカーまで41周の周回が待っていた。するとその数周後、フェルスタッペンが不具合を訴えた。

フェルスタッペン:BBWがおかしい
ランビアーゼ:わかった、マックス。見てみよう

 BBWとはブレーキ・バイ・ワイヤのことだが、この場合はリヤブレーキの回生エネルギーと本来のブレーキ制動力の配分を意味する。フェルスタッペンはリヤブレーキのフィーリングに違和感を覚えているのだろう。

 ペレスと同じ26周目にピットインした角田は、9番手から13番手に後退。それまで背後で抑えていたカルロス・サインツ(フェラーリ)はそのまま周回を続け、ペースを上げている。このままだとオーバーカットされてしまう。32周目、マティア・スピニから指示が飛んだ。

スピニ:ユウキ、9秒9までペースを上げろ。今は10秒1だ
角田:サインツはどこだ
スピニ:サイド・バイ・サイドだ

角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第8戦シュタイアーマルクGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

 しかし角田のペースは、なかなか1分10秒台を切ることができない。同じタイミングでサインツは、リカルド・アダミとこんなやり取りをしていた。

アダミ:今のペースで、あとどれくらい引っ張れると思う?
サインツ:少なくとも5周はいけるよ

 結局41周目まで引っ張ったサインツはその間にリードを広げ、角田のふたつ前、7番手でコース復帰した。

 スタート直後の接触事故で18番手まで後退したシャルル・ルクレール(フェラーリ)は、そこから猛然と追い上げ、36周目には8番手まで這い上がった。しかしプッシュし続けたことで、ブレーキにかなりの負荷がかかっていた。

マルコス・パドロス:ブレーキ温度が上がってる。リフト&コーストが必要だ
ルクレール:できるだけのことはするよ
パドロス:了解だ。いい仕事をしているぞ

シャルル・ルクレール(フェラーリ)
2021年F1第8戦シュタイアーマルクGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)

 リフト&コーストはスロットルをオフにして、惰性で走らせる状態を指す。燃費が厳しい時にコーナー進入の際に使われることが多い。しかしこのルクレールのように、ブレーキ温度を下げる目的でも使用される。

 予選13番手と苦戦したダニエル・リカルド(マクラーレン)は、スタートタイヤにミディアムを選択。41周目まで引っ張り、7番手まで順位を上げたところでピットインの指示がきた。ところが……。

トム・スタラード:ダレン、いや、ダニエル、ボックスだ

 担当エンジニアのトム・スタラードが、リカルドに「ダレン」と呼びかけてしまう。ちなみにスタラードは第4戦スペインGPの時には、「カルロス」と呼び間違えている(去年までサインツを担当していた)。しかしリカルドは、少しも慌てない。

リカルド:ダレン、了解した。ピットインするよ

「きみがダレンと呼びたいのなら、僕はかまわないよ」という太っ腹な感じなのだろう。それにしてもダレンって、いったい誰?


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