2021年F1第10戦イギリスGPの決勝レースでは、スタート直後にマックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトン接触が発生した。幸いフェルスタッペンは自力でマシンを降りることができたものの、赤旗中断の間に両チームのチーム代表がレースディレクターにお互いの主張を伝えていた。イギリスGPのスタート直後の様子を無線とともに振り返る。
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F1史上初のスプリント予選方式が導入されたイギリスGP。土曜日のスプリント予選でスタート直後に6台をごぼう抜きにしたフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)と担当エンジニアのカレル・ルースは、決勝レースのグリッドでも意気軒高だった。
ルース:さあ、昨日以上に愉快な1日にしよう!
しかし前日のロケットスタートの再現はならず、逆セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)にかわされてしまう。一方先頭では、超高速のコプスコーナーでマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)の接触事故が発生する。フェルスタッペンはタイヤバリアに激突し、早々にリタイア。ハミルトンも、無傷では済まなかった。
ハミルトン:ダメージを負った!
ピーター・ボニントン:ピットを準備する
しかしハミルトンはステイアウトし、その間にレースは赤旗中断となったことで、シャルル・ルクレール(フェラーリ)に次ぐ2番手の位置でピットへと向かった。もしあの時点であわててピットインしていたら、順位を大きく落としていたはずで、優勝は不可能だっただろう。
チームはすぐ後ろを走るバルテリ・ボッタスに、ハミルトン車のダメージ確認を指示していた。
リカルド・ムスコーニ:バルテリ、ルイスの横まで行ってくれ。でも抜くなよ。ダメージがないか、見るんだ
ボッタス:左側か?
ムスコーニ:そうだと思う
ボッタス:正直、よく見えない。もしかしたらフロントウイングに何かあるかも
実際には左フロントのホイールに損傷があり、赤旗中断がなければリタイアしていただろうと、レース現場のエンジニアリングディレクター、アンドリュー・ショブリンはレース後に語っている。
ハミルトン:マックスは大丈夫か?
ボノ:クルマからは出ている
フェルスタッペンの無事を確認したハミルトンは、接触事故について自分の正統性を主張した。
ハミルトン:僕が前にいたんだ
ボノ:わかってるよ、ルイス
ハミルトン:(フェルスタッペンは)僕の走行ラインを塞いでた
ボノ:ああ。ビデオを見直すよ
ハミルトン:スペースも空けてなかったしね
一方ボッタスは、中立的な見解だった。
ボッタス:あれはレーシングインシデントだったんじゃないかな
ムスコーニ:今、審議中だ