2021年F1にデビューしたミック・シューマッハーとニキータ・マゼピンは、ともにハースF1チームで初めてのシーズンを送っている。ふたりはどのように学び、つまずき、成長していくのか。キャラクターの異なるふたりのルーキーのデビューシーズンを、英国人ジャーナリスト、クリス・メッドランド氏が観察していく。今回は第10戦イギリスGPを振り返る。
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イギリスGPで、F1スプリント・フォーマットが初めて導入され、どのチームも新システムに適応する必要があった。その週末、ニキータ・マゼピンは最終的にミック・シューマッハーに勝った。今季2回目のことだ。
前回はモナコで、シューマッハーにパワーユニットの問題が起き、その間にチームメイトに先行された。だが今回は純粋なパフォーマンスでマゼピンが勝った。彼はレースの仕方において成熟してきたようだ。
ルーキーにとって金曜に予選が行われるのは大きな試練だった。予選前にF1マシンでシルバーストンを走って感触をつかみ、マシンのセットアップをするための時間が、1時間しかない。少なくともその点ではマゼピンにアドバンテージがあった。2016年のインシーズンテストで17歳の時にフォース・インディアで走った経験があったのだ。
だが予選でより好調だったのはシューマッハーの方だった。チームメイトに0.3秒差をつけ、Q2進出まで0.7秒だった。0.7秒は大差に思えるかもしれないが、ダウンフォースと高速でのパフォーマンスが重要なシルバーストンでは、ハースにとってそれほど悪い結果ではない。ちなみに、昨年のシルバーストンで、ロマン・グロージャンは、2戦目にはQ2に進出したものの、1戦目ではQ2まで0.9秒だった。
スプリント予選は、ルーキーたちにとって貴重な経験を積める機会だった。ハースのマシンは現時点で一番遅いため、チーム代表ギュンター・シュタイナーは、17周のレースでリスクを犯すなとドライバーたちに指示していた。ここでダメージを負うと、余計な出費が必要になるからだ。
だがシューマッハーとマゼピンはターン3でサイド・バイ・サイドになり、マゼピンがイン側でスピン。ただ、軽い接触で、シュタイナーを激怒させるほどのダメージには至らなかった。