2021年F1第15戦ロシアGPの初日はメルセデス2台が上位を独占し、予想どおりの強さを発揮した。しかしホンダ勢4台も「問題なく周回を重ねて、多くのデータを取ることができた」とホンダF1田辺豊治テクニカルディレクターは語る。
一方で前戦イタリアGPのペナルティで3グリッド降格が決まっているマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は、FP1終了後のタイミングで4基目のパワーユニット(PU)に交換。これで決勝レースは後方グリッドからのスタートが決まった。
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──初日は最初のフリー走行からロングランをするなど、通常と少し違うメニューで行われました。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):土曜日は朝からかなりの雨が降ることが予想され、一方で日曜日は再びドライ路面になりそうです。ですので、ドライ路面できっちり練習走行ができるのは今日だけだということでした。ホンダ勢4台は基本的に問題なく周回を重ね、多くのデータを取ることができました。
──マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は4基目のパワーユニットを投入しました。
田辺TD:はい。FP1走行後に新品パワーユニットを入れました。その結果、今回のレースは残念ながら後方グリッドからのスタートということになります。予選は雨になる可能性が高いですが、そこでどこまでいけるか。そしてドライ路面でのレースとのバランスをどう考えるか。我々パワーユニット側にしても、雨と晴れではエンジン全開頻度や回生エネルギーの使い方なども大きく変わってきます。そのあたりをきちんと合わせられるよう、データ準備をして対応できるようにしていきたいと思っています。
──フェルスタッペンの4基目交換ですが、プレスリリースによるといろいろな局面を考えて決断したとのことです。ソチ(ロシアGP)で交換した理由について、もう少し説明してください。メルセデス優位な状況で、ポールポジションを獲るのが難しいという判断からだったのか。あるいは予選で雨が降るからなのか。
田辺TD:まさにいろいろな理由を考慮してということです。今挙げてもらった理由もすべて含んでいます。相対的な競争力、天候、4基目の投入が避けられない状況のなか、どのタイミングがベストなのか。この先何があるのかわからないですし、そこも含めていろいろと検討した結果です。これ、という決め手があったのではなく、あくまでいろいろ考えてということです。
──FP1終了後、FP2開始前にパワーユニット交換というタイミングも通常とは違うものですが、これは最初から決めていたことなのか、あるいはFP1後に急きょ決めたのでしょうか?
田辺TD:一度走ってみて(状況を見る)というのは、もちろん考えていたことです。できれば4基目は投入したくなかったですが、しかしやらざるを得ない。そのための最適なタイミングを計っていたということです。
──土曜日が雨とわかっていなければ、4基目交換はFP2後にしていたのでしょうか?
田辺TD:あらゆる状況を考慮して、ですね。