バルテリ・ボッタス(メルセデス)がF1第15戦ロシアGPの日曜日にパワーユニットを新品に交換したため、予選13番手だった角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)のスタートポジションはひとつ上がって12番手となった。これは今シーズンの角田のスターティンググリッドとしては、アゼルバイジャンGP、オーストリアGP(ともに7番手)、シュタイアーマルクGP(11番手)に次ぐ、自身3番目に前方のポジションだった。
これまで不安を抱えていたスタートはそれほど悪くはなく、ふたつほどポジションを落として、最初のブレーキングポイントとなる2コーナーへ向かった。ブレーキングで角田が位置していたのはイン側だった。14番手で2コーナーに進入しようとした次の瞬間、パワーユニットを交換して19番手からスタートしていたシャルル・ルクレール(フェラーリ)が、さらに角田のイン側に飛び込んできた。
「イン側に結構オーバースピード気味に飛び込んできて……」(角田)
ルクレールのオーバーテイクによって角田は14番手というポジションを奪われただけでなく、2コーナーの立ち上がりで失速したルクレールの後ろで、行き場を失い、続く3コーナーでアウト側からボッタスにもオーバーテイクを許してしまう。
「そのあとは後ろ(リヤタイヤ)が全然グリップしなくて、コース上に留まるのが精一杯でした」という角田は、セクター2を通過するまでに、なんと最下位まで降格してしまった。
何が起きたのか。考えられることはドライコンディションでのセットアップ不足だ。ドライコンディションで行われた金曜日のフリー走行での角田の順位は18番手。そのときもグリップ不足に悩まされていた。その後、チームは角田のセッティングを変更し、土曜日の予選で角田は13番手となるが、それはウエットコンディションのなかであり、ドライコンディションでのセットアップが本当に改善されているのかどうかは未知数だった。
いかに角田がレースでグリップ不足に悩まされていたのかは、最後尾に下がった角田がこの日、コース上でオーバーテイクしたのが、ハースの2台だけだったことでもわかる。
「そもそも今週はドライではまったくペースがよくなかったので、そのあたりをどうやって改善できるのかを見直していきたいと思います」
そう言うと角田はうつむきながら、チームのホスピタリティへと帰っていった。