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F1 ニュース

投稿日: 2021.10.02 11:24
更新日: 2021.10.02 11:26

雨のベルギーGPで批判を受けたF1、悪天候下のスケジュール変更について協議。柔軟化図るべくTV局側とも交渉へ

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F1 | 雨のベルギーGPで批判を受けたF1、悪天候下のスケジュール変更について協議。柔軟化図るべくTV局側とも交渉へ

 F1は、グランプリウイークエンドが極端な悪天候に見舞われた場合、レースディレクターがフリー走行、予選、決勝のスケジュールを柔軟に変更できるようにするための方策について、FIA、各チーム、テレビ放映権所有者らと協議を進めている。

 今年の第12戦ベルギーGP決勝は大雨に見舞われ、悲惨な展開となった。スタート時刻が延期され、セーフティカー先導でフォーメイションラップを走った後、赤旗中断に。約3時間の中断を経て、セーフティカーの後ろでレースが再開されたが、3周目に赤旗が提示され、その後、レース終了が決定された。

 この日はひどい悪天候だったにもかかわらず、現地15時スタートのスケジュールを維持しなければならなかったことから、結局はセーフティカー先導での3周走行した後にレースが断念され、実質的に1ラップもレースが行われなかった。この事態に批判が集まり、このような悲惨な状況が繰り返されないための方策について、関係者間で議論が始まった。

2021年F1第12戦ベルギーGP決勝
2021年F1第12戦ベルギーGP決勝

 FIAレースディレクターのマイケル・マシは、F1第15戦ロシアGP決勝後、以下のように説明した。

「我々は、スパでの問題を踏まえて、FIA、F1、10チームがさまざまな戦略的議論を行う必要があると言った。この件はF1ストラテジーグループ会合でも議題のひとつとなるだろう」

「これは単純に解決可能なシナリオではない。なぜなら、まったく異なる2つのガバナンス構造がからんでいるからだ。一方にはF1、そしてもう一方にはFIA-F2とF3という3つの選手権にまたがる話なのだ」

 ロシアGPを前に、土曜は激しい雨になるとの予報が出ており、ひどいウエットコンディションになることが予想されていた。そのため、土曜日早朝に予定されていたFIA-F3のスプリントレース1が金曜日午後に変更された。このスポーツにおいてこのような柔軟な対応が取られたことは過去に例がなかった。

2021年F1第15戦ロシアGP ソチ・オートドローム
2021年F1第15戦ロシアGP ソチ・オートドローム

 しかし、マシは「スパでの出来事はまったく影響しなかった」と述べて、3週間前にベルギーで起こった事象と今回の決定との関連を否定している。その上で、ソチにおける、F2とF3のスケジュール変更について説明した。

 F2のレース1は土曜の現地時間10時30分から行われる予定だったが、ピットレーンにマシンが並ぶものの、雨が強まったことで土曜16時45分スタートに延期になり、レース2は中止となった。

「土曜日の状況はこうだった。土曜の早い時間帯の状況では、問題なく走れそうな時間帯があったので、F2マシンをピットレーンに入れた。しかし、その後、可能性が低くなってしまった」とマシは言う。

「我々はこれまで、セッションごとに原則に基づいて複数のシナリオから判断してきた。今回も同じことをしたわけだが、もちろん制約条件はいくつか存在した」

「F3レースの金曜日への移動については、コンディションを見ての判断だった。このシナリオにした決め手は、これが選手権の最終戦であり、レースをプログラム内に収めることが可能だったことだ」

2021年F1第12戦ベルギーGP決勝
2021年F1第12戦ベルギーGP決勝

■実質レースなしのベルギーGPはテレビ局側にとってもマイナスに

 F1ストラテジーグループ会合では、週末のスケジュールを柔軟に変更するという点でどのような選択肢があり得るかが議論される予定だ。一方でF1はすでに、最も高額な料金を支払っているテレビ放映権保有者、具体的にはイギリス、ドイツ、イタリア、アメリカ、オーストラリアでの権利をもつ『Sky Corporation』とのあいだで話し合いを始めており、今後、状況をどのように変更することが可能であるかについて、意見を聞いている。

 テレビ局の放送スケジュールは、概して変更の融通が利きにくいが、スパでの出来事は彼らにとっても痛手となった。視聴率は大幅に低下し、世界中から多数の苦情が寄せられたのだ。また、コース上で何も行われていない状態が長時間続くなかで、テレビクルーは視聴者の興味を引きつけておくためにさまざまな即興的工夫を迫られた。

2021年F1第12戦ベルギーGP決勝
2021年F1第12戦ベルギーGP決勝

 現時点では、基本的にはFIA、F1、10チーム、さらにF2とF3の運営側が協議を行う段階にある。ストラテジーグループ会合で何らかの解決策が見出された場合、リバティ・メディアの商業部門がそれについて議論を行う。そして彼らは、主だったテレビ放映権保有者たちに対し、新しいプランを受け入れ、スケジュール変更に対応してもらうために交渉する。

 F1側は、その際、きちんとした形で行われるレースを放映できるという保証を、テレビ局側に対して行う。雨がやむのを待ってガレージのなかに収められたマシンを何時間も紹介し続けたり、もっとひどい場合には、世界選手権の1戦を成立させるためだけに、セーフティカーの後ろでのろのろ走るマシンの隊列を映すようなことはしないで済むと約束するわけだ。


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