レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

F1 ニュース

投稿日: 2021.10.21 17:18
更新日: 2021.10.21 23:04

【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第16回】ミックがQ2進出。今季2度目の目標達成は「純粋に実力を発揮した結果」

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


F1 | 【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第16回】ミックがQ2進出。今季2度目の目標達成は「純粋に実力を発揮した結果」

 2021年シーズンで6年目を迎えたハースF1チームと小松礼雄エンジニアリングディレクター。2年連続での開催となったトルコGPで、ミック・シューマッハーが今季2回目の予選Q2進出を果たした。難しいコンディションでミックはよくやってくれたと、小松エンジニアは高く評価している。今回はそんなトルコGPの現場の事情を小松エンジニアがお届けします。

────────────────────

2021年F1第16戦トルコGP
#9 ニキータ・マゼピン 予選20番手/決勝20位
#47 ミック・シューマッハー 予選14番手/決勝19位

 昨年に続き、2年連続の開催となったトルコGP。昨年はグランプリ直前に路面の再舗装が行われたため、初日からまったくタイヤがグリップせず苦労しました。今年は開催前に高圧洗浄機で路面が掃除されたので、これによって路面がどれくらい改善されているかが重要なポイントになりました。

 実際に走り出してみると、昨年よりはかなり路面がよくなっていました。しかし、路面のグリップがよくなっているということはラップタイムも速くなり、タイヤへの負荷も増します。その結果、今度はピレリが持ち込んだタイヤが合わないという現象も起きました。

 昨年ピレリはC1〜C3の3種類を持ち込みましたが最も固いC1タイヤがまったく機能せず、C3より4秒以上も遅かったのです。これを受けて今年はワンランク柔らかいC2〜C4の3種類を持ち込みました。しかし、C3(昨年のソフトタイヤ。今年はミディアムタイヤとして使用)では昨年も長い距離を走れなかったので、グリップが上がった今年はC3もC4も両方ともきつかったですね。これは事前に予測もできたのでC2をフリー走行でまったく使わず、レース用に2セット確保していたチームも多かったです。そういう意味では、もしレースがドライコンディションで行われていたら、昨年と同じC1〜C3の方がよかったでしょうね。

ニキータ・マゼピン(ハース)
2021年F1第16戦トルコGP ニキータ・マゼピン(ハース)

 さて今回、ミックが予選でQ2に進みました。第7戦フランスGPでは、ランス・ストロール(アストンマーティン)がタイムを計測できずにQ1敗退となったこともあってミックはQ2に進みましたが、イスタンブールでのQ2進出は純粋に実力を発揮できた結果だと思っているので嬉しかったです。

 予選はドライタイヤで走れる状況でしたが、ターン1などまだ路面が乾ききっていないコーナーもありましたし、雨の予報もあったのでなかなか難しいセッションとなりました。Q1開始3分後に雨が降るという情報があったので、僕たちはQ1が始まる3分前には2台のエンジンをかけてピットレーン出口に並びました。当初のプランはプッシュ(計測)→クールダウンラップ→プッシュ(計測)の3周を走って一度ガレージに戻り、新品タイヤに履き替えてもう一度プッシュ→クール→プッシュと走るというものでした。

 雨が降る前に1回でも2回でもタイムを出したかったのですが、ふたりとも1周目にターン1でコースオフしてしまい、2周目に計測ラップを行うことになりました。3周目に連続してアタックはできないので、ここで2台ともピットインして新タイヤを履いて出ていきました。

ミック・シューマッハー(ハース)
2021年F1第16戦トルコGP ミック・シューマッハー(ハース)

 ニキータに関しては後で触れますが、ミックは2セット目のタイヤでなんとかタイムを出し、暫定で14番手に。ただ1セット目のランで先ほど書いたミスがあり当初のプランよりも早いタイミングで2セット目を履いているので、このまま走行を終えてしまったら路面状況が一番改善されているタイミングで走れないことになってしまいます。僕たちはあくまでもQ1突破が目標なので、一番路面状況がいい時に新タイヤで走るため、3セット目を投入することに躊躇はありませんでした。

 当時ターン1とセクター3以外はドライで、ターン1はアウトラップの際に通過しないということもあって一番難しいコーナーになっていました。ミックはよく走ってくれましたが、ここではジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)にコンマ4秒も差をつけられてしまいました。しかし、ミックは最後の3つのコーナーではそのラッセルよりも速く、かなり高いレベルで1周をまとめてくれました。今回初めて“これだけやれた”という手応えがありましたね。

 Q1でソフトタイヤを3セット使い、Q2では使える新品タイヤがなかったのですが、最初のランで中古のソフトを履かせたのは間違いでした。セッションが始まる前にミックとエンジニアのギャリーがタイヤについて話している時にきちんと「新品のミディアムタイヤで行った方がいい」と指示を出せなかった、僕の反省点です。

 本来であれば最初に新品ミディアムで走って、それでいいのか悪いのかを判断し、2セット目のタイヤを決めるという流れです。僕はウチのクルマではミディアムで走るのは厳しいとは思っていました。しかし、それを試すチャンスは1回目のランしかないんです。1回目のランでミディアムを使わずに、2ラン目に初めてミディアムを履くというのはギャンブルになってしまいます。とにかく、Q2はもう少し上手くやれたはずなので反省点として残りました。

ミック・シューマッハー(ハース)
2021年F1第16戦トルコGP ミック・シューマッハー(ハース)

■ニキータは水量の少ない路面コンディションでのタイヤマネージメントが課題に


関連のニュース

F1 関連ドライバー

F1 関連チーム

本日のレースクイーン

AUTOBACS/大阪オートメッセ2024
一之瀬優香(いちのせゆうか)

F1 Photo Ranking

フォトランキング