2016年のF1は、ルールを巡ってさまざまな混乱が起きたシーズンでもあった。そのなかでシーズン開幕前から話題を集めたのが、新しい予選システムだった。
F1の予選システムは、2006年にノックアウト方式が導入され、これまで10年間にわたって基本的に変わりなく行われてきた。ところが、メルセデスAMGの一強状態が2年間続いたこともあり、FIAはスタートポジションを少しでも混乱させてレースをエキサイティングにしようと、2015年末から予選システムの変更に乗り出した。
F1界のボスであるバーニー・エクレストンは、リバースグリッド導入という過激な変更プランを希望していたが、ほぼトップチームで構成されるストラテジーグループによる会合で、この案が却下。そこでFIAのレースディレクターを務めるチャーリー・ホワイティングが、ノックアウト方式に変更を加えた“時限式”ノックアウト方式を提案した。
これは第1セッションとなるQ1を16分に設定し、さらに開始から7分時点で、最下位タイムの1台が脱落し、その後90秒ごとにその時点で最も遅いドライバーを1台ずつ脱落させるというものだった。
ウインターテストで多くのドライバーが反対していたにも関わらず、FIAは開幕戦に新方式を導入。しかし、グリッドは混乱するどころか、ほとんど変化が起きなかった。それは新方式が速いマシンにより有利に、遅いマシンにより不利になるように働いていたからである。