2021年F1第19戦ブラジルGPの決勝レース。チャンピオンを争うマックス・フェルスタッペンは2番手からスタートし、ポールポジションのバルテリ・ボッタスを抜いて首位に立った。さらにセルジオ・ペレスもボッタスをパスしてレッドブルが1-2体制を形成。一方ルイス・ハミルトンは10番手からのスタートで、序盤からオーバーテイクを連発し、フェルスタッペンを追う展開となった。ブラジルGPを無線とともに振り返る。
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ブラジルGP決勝日は、快晴。路面温度はスタート時点で54度まで上がっていた。レースでは、タイヤをいかに持たせるかが焦点になるのは確かだった。
マッティア・スピニ:マシンバランスはどうだい?
角田裕毅:アンダーステアが大きいね。特に高速のターン6。最後のラップは、どんどんアンダーが大きくなっている感じだ
スピニ:了解した
同じようなアンダー傾向は、ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)もレポートしていた。ただしこの日のような高温コンディションでは、周回を重ねるごとにリヤタイヤが垂れてオーバーステア傾向がひどくなっていく。ボッタスはその辺りを見極めて、ウイングの調整はせずにスタートに臨んだ。
リカルド・ムスコーニ:(フロント)ウイングは上げた方がいい? そのままで行く?
ボッタス:そのままで行こう
スタートの時点では、ポールシッターのボッタスを含む奇数グリッドの上位数台は、グランドスタンドの影になっていた。
ムスコーニ:グリッドが影になっている。グリップに問題が出るかもしれない
その懸念が的中したというべきか、ボッタスはスタート加速が鈍く、まずマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)に、続いてセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)にも抜かれていった。後方では、ランド・ノリス(マクラーレン)とカルロス・サインツ(フェラーリ)の接触事故が発生していた。
ノリス:パンクチャーだ
サインツ:ランドとの接触を避けられなかった。はさまれていたんだ!
そして5周目には同じターン1で、ランス・ストロール(アストンマーティン)のインを突いた角田が接触、両者はマシンにダメージを負い、角田はピットに向かった。
角田:全然ミラーを見てない!
ストロール:ひどいアンダーだ。ダメージでダウンフォース失っている
ブラッドリー・ジョイス:左側にダメージを受けている。でも大丈夫だ。そのままプッシュしろ
ストロール:フィーリングは最悪だよ!
4周目にシャルル・ルクレール(フェラーリ)を抜いて早くも4番手に上がったルイス・ハミルトン(メルセデス)に対し、ボッタスは5周目にすぐに順位を譲った。
ハミルトン:ありがとう、バルテリ
3番手に上がったハミルトンは、「ふたりでレッドブルをやっつけよう」と、ボッタスを鼓舞した。
ハミルトン:バルテリについてこいと伝えてくれ。奴らをやっつけよう