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F1 ニュース

投稿日: 2022.02.16 16:38
更新日: 2022.02.16 16:40

数字で見る2022年F1技術レギュレーション(2)王者メルセデスは空力テストが70パーセントに制限

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F1 | 数字で見る2022年F1技術レギュレーション(2)王者メルセデスは空力テストが70パーセントに制限

 2022年にF1技術レギュレーションが一新され、マシンの外観が大きく変わること、その目的はオーバーテイクの促進であることは「2022年F1技術レギュレーションを画像で解説」(全3回)で解説した。今回の特集では、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが、それ以外の部分の規定変更に関して、数値を交えてまとめた。

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■エンジン、ギヤボックス

 エンジンは2025年まで進化が凍結される。性能面でも信頼性でも、エンジンメーカーに失敗は許されないということだ。メルセデスとホンダの後塵を拝しているフェラーリとルノーが全く新しいパワーユニットを投入するのは、このためだ。ルノーは独立したアーキテクチャーのV6、フェラーリも革新的なエンジンを投入する。

 F1の二酸化炭素排出量を減らすため、今シーズンは、エタノールを10%含んだガソリンを使わなければならない。フェラーリのマッティア・ビノット代表によれば、燃料の変更により、すべてのエンジンメーカーが約20馬力の損失を被るという。それに加えて最低重量が5kg増加し、材料の範囲が制限される一方で、一般的なコンセプトは変わらない(MGU-Hは2026年以降廃止される予定)。

 ただし変化の少なさは、あくまで表面上のことだ。実際、いくつかのエンジンメーカーが不正を働いたという疑惑を受け、FIAは燃料システム内への標準化部品の搭載を決定した。具体的には高圧燃料ポンプ、バルブ、タンクとポンプ間の配管を標準化し、不正な操作ができないようにした。

 一方でトランスミッションはチームの反対で、標準化は見送られた。基本的に2025年末までの4年間開発は凍結されるが、その間に1回だけ更新が許可される。

フェラーリF1パワーユニット
フェラーリF1パワーユニット

■標準パーツが大幅増加

 マシンパーツは、4つのグループに分けられる。なかでも注目は、大幅に拡張された標準パーツだ。

1)リステッド・チーム・コンポーネンツ(LTC)
ここに記載された部品は、すべてチームが製造しなければならない。すべての車体パーツ、サバイバルセルとロールケージ、大部分の冷却装置、標準的な電子制御ユニット(ECU)ソフトウェアだ。フェラーリ、レッドブルと開発を共有しているハースとアルファタウリにしても、これらのパーツを自分たちで生産しなければならない。

2)スタンダード・サプライ・コンポーネンツ(SSC)
FIAが作成した仕様書に従って、単一のサプライヤーが製造する標準的な要素を指す。燃料流量計、燃料ポンプ、高圧、エンジン温度および圧力センサー、タンクとエンジン間の燃料回路の特定の要素、空気圧センサー、ホイール、および従来の標準部品(ECU、テレメトリ、ラジオ、トランスポンダ、ステアリングホイール・スクリーン、高速カメラ、事故用ブラックボックス、ボディ上のライトなど)などがこれに該当する。

3)トランスファラブル・コンポーネンツ(TRC)=譲渡可能部品
チームが他のチームから購入できる部品を指す。ハース、アルファタウリ、アストンマーティン、ウイリアムズ、その他どのチームも、油圧系、ステアリング、ギヤボックス、ワイヤーハーネスなどを、競合他社から購入することができる。

4)オープンソース・コンポーネンツ(OSC)
これはあるチームが、全チームがアクセスできるサーバーに設計図を公開した要素のことだ。ペダルや運転席の水筒、ステアリングホイールなどの重要度の低いパーツである。

■風洞実験とCFDの制限

次世代マシンの空力デザインを決める際にF1が行った風洞実験
新世代マシンの空力デザインを決める際にF1が行った風洞実験

 今季はチーム予算が1億4千万ドル(約161億円)に制限されているため、予算の制約も考慮しなければならず、風洞時間の配分も差別化されている。つまり、スタートダッシュが悪いと、軌道修正するまでに時間がかかるということだ。

 今季型マシンの設計期間だった2021年は、以下のような差別化が図られた。

メルセデス:風洞実験1752回、CFDで検討できる要素数10950個
レッドブル:同上
マクラーレン:1824回、11400個
フェラーリ:1920回、12000個
アストンマーティン:同上
アルピーヌ:1968回、12300個
アルファタウリ:同上
アルファロメオ:2064回、12900個
ウイリアムズ:2136回、12350個
ハース:同上

 そして今年1月から6月までは、選手権ランキングに従って、基本数値から以下のように空力テストの許容量が定められる。

メルセデス:70%
レッドブル:75%
フェラーリ:80%
マクラーレン:85%
アルピーヌ:90%
アルファタウリ:95%
アストンマーティン:100%
ウイリアムズ:105%
アルファロメオ:110%
ハース:115%


この記事は国内独占契約により 提供の情報をもとに作成しています

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