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F1 ニュース

投稿日: 2022.03.18 06:35
更新日: 2022.03.18 06:56

レッドブルRB18に抱く疑問と意外な高評価マシン【サム・コリンズのF1全10チーム開幕直前チェック】

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F1 | レッドブルRB18に抱く疑問と意外な高評価マシン【サム・コリンズのF1全10チーム開幕直前チェック】

 2022年F1シーズンが3月18日~20日のバーレーンGPで開幕する。どのチームが初戦で強さを見せ、どのチームが苦しむのか。テストの情報のみで各マシンの真の速さや序列を予想するのは難しいが、formula1.comでの解説でもお馴染みのF1ジャーナリスト、サム・コリンズ氏が、プレシーズンテスト期間の6日間、各マシンを観察した印象をまとめてくれた。

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“不透明”。バーレーンでのF1プレシーズンテストの結果を一言で表現するなら、この言葉が一番しっくりくるだろう。

 2022年F1開幕戦で何が起こるか、予想できる者は誰もいない。ラップタイムだけでは多くのことは分からず、何を仮定しても今の段階では無意味なのだ。

 バーレーンテスト全体の最速タイムを出したのは、波乱の2021年シーズンを制してドライバーズタイトルを手にしたマックス・フェルスタッペン/レッドブルだった。だが、2021年の最下位チームであるハースに乗るミック・シューマッハーが、フェルスタッペンよりもハード寄りのタイヤで2番手に入ってみせた──。

■レッドブルRB18:疑問符が残る最速タイム

2022年F1バーレーンテスト3日目 マックス・フェルスタッペン(レッドブルRB18)
2022年F1バーレーンテスト3日目 マックス・フェルスタッペン(レッドブルRB18)

 ラップタイムだけでは何も分からないが、タイミングデータを分析していくことで、ある種の結論を導き出すことを試みることは可能だ。燃料の量やエンジンモードといったいくつかの重要な要素を無視するならば、ある程度の結論を引き出すことができる。

 そうした重要なファクターを無視した場合、レッドブルが最速ということになる。しかしこれは、主にテスト最終日のみに基づいた結論だ。この日、レッドブルは、RB18に大幅なアップデートを施した。一見すると、サイドポッドが主な変更点に見えるが、それだけではパフォーマンスの大幅な向上を説明することはできないだろう。

 レッドブルは、極端に燃料を軽くして、非常にアグレッシブなエンジンマップを選択して走行した可能性がある。しかも、フェルスタッペンは、バーレーンGPでは使用されない最もソフトなタイヤ、C5コンパウンドを使って最速タイムを記録している。

 2021年シーズンにレッドブルは、タイトル争いのなかで、最終戦までRB16Bの開発に取り組んだ。厳しく制限された風洞作業時間の多くをRB16Bに費やし、RB18の開発にそれほど多くの時間は割けなかったはずなのだ。それを考えると、実際に彼らが予選で圧倒的な強さを発揮したなら、それは驚くべきことだ。RB18はひどい重量過多に悩まされているらしいことも気になる。

■フェラーリF1-75:真の最強マシンか

2022年F1バーレーンテスト シャルル・ルクレール(フェラーリ)
2022年F1バーレーンテスト シャルル・ルクレール(フェラーリ)

 ペースデータではフェラーリは2番手だが、実際にはF1-75は、どのタイヤでも、どういう燃料搭載量でも強そうに見え、最強であるという印象を受けた。

 また、マシンの信頼性が高いことも重要だ。“ポーパシング”という、空力的な影響で起こる高速走行時の激しい振動に悩まされてはいたが、これはこのマシンのダウンフォースレベルが高いことを示している。

■メルセデスW13:大規模アップグレード導入も精彩欠く

2022年F1バーレーンテスト1日目 ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2022年F1バーレーンテスト1日目 ルイス・ハミルトン(メルセデス)

 2021年のコンストラクターズチャンピオンであるメルセデスは、バーレーンテストに、サイドポッドを大幅に縮小するという大規模なアップグレードを持ち込んだものの、データ上では3番手のタイムにとどまっている。
2022年F1バーレーンテスト ルイス・ハミルトン(メルセデスW13)
2022年F1バーレーンテスト ルイス・ハミルトン(メルセデスW13)

 劇的なアップグレードが施されたW13だが、ひどいポーパシング現象に見舞われ、さらには小さな信頼性の問題が多数発生していた。ドライバーはふたりともマシンに良い感触を持っておらず、ルイス・ハミルトンは、現状ではこのマシンに優勝する力はないと断言する。とはいえ、過去5シーズン、彼がこの時期に同じことを言っていたことを忘れてはならない。

■アルピーヌA522:最終テストで劇的に改善

2022年F1バーレーンテスト3日目 フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)
2022年F1バーレーンテスト3日目 フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)

 アルピーヌチームは、バルセロナテストでは散々な結果に終わったが、バーレーンでは好転した。

 バーレーンでの最終テストでは、目立たないながらも大規模なアップデートを持ち込み、マシンは大幅に速くなったようだ。しかしアルピーヌは速いラップタイムを出そうとしなかったため、このマシンについて多くの結論を引き出すことは難しい。

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