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F1 ニュース

投稿日: 2022.03.24 15:30
更新日: 2022.03.24 15:45

F1の頂点を極めたホンダPUを世界初公開の写真とともに完全解明『ホンダF1のテクノロジー』3月26日発売

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F1 | F1の頂点を極めたホンダPUを世界初公開の写真とともに完全解明『ホンダF1のテクノロジー』3月26日発売

 ホンダは2015年から2021年まで、マクラーレン、スクーデリア・トロロッソ/アルファタウリ、レッドブル・レーシングにパワーユニットを供給した。パワーユニットの名称は2015年から順に、RA615H、RA616H、RA617H、RA618H、RA619H、RA620H、RA621Hとなる。2021年シーズン限りでの参戦終了を受け、RA621Hは計画を前倒しして新骨格を採用。その思い切った決断が奏功し、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)によるタイトル獲得につながった。

 モーターファン・イラストレーテッド特別編集『ホンダF1のテクノロジー』は、7シーズンにわたるパワーユニットの技術進化をまとめたものだ。それも、世界初公開の撮り下ろし写真を中心に構成している。本誌で初めて明らかにする技術もある。

“新骨格”については、どこが新骨格なのか、本誌を開いてみれば一目瞭然だ。なにしろ、旧骨格を横に並べているのだから。例えばシリンダーブロック。2020年までの旧骨格はレーシングエンジンとしては一般的なアルミ鋳物だが、新骨格は高強度アルミ合金の総削り出しである。写真で見ると、質感がまるで違うし、コンパクトなつくりになっているのがわかる。もちろん、なぜ新骨格にし、総削り出しにしたのか、ホンダのF1パワーユニット開発拠点であるHRD Sakuraの技術者に取材し、解説している。

 補機や吸排気カムシャフトを駆動するギヤトレーンを覆うフロントカバーも見物だ。旧骨格はマグネシウム合金製だが、新骨格ではこれもアルミ合金の総削り出しとなっている。素材の違いよりも衝撃的なのは、そのサイズだ。新旧を見比べてみると、新骨格はヘッドまわりが非常にコンパクトなのがわかる。これは、技術規則が定める幾何学的圧縮比の上限を使い切るにあたり、最適なジオメトリーを取り入れたのが理由のひとつ。

 もうひとつの理由は車体側(具体的にはインナーカウル)の設計に貢献することだった。どれだけ貢献しているかは、具体的な数字を示して解説している。新骨格は小型・低重心・車体貢献をコンセプトに開発されたが、そのコンセプトは、シリンダーヘッド+ヘッドカバーにも形になって現れている。誌面では新旧のシリンダーヘッドも並べているが(これも世界初公開だ。というか、掲載している写真のほとんどが世界初公開だろう)、新骨格のヘッド&カバーは極めてコンパクト。それに、RA615HからRA620Hまでは存在して、RA621Hではなくなっている部位があり、“ない”ことが目を引く。

旧骨格では、シリンダーブロックはアルミ鋳物だった。
旧骨格では、シリンダーブロックはアルミ鋳物だった。
シリンダーブロック。2021新骨格ではアルミ総削り出し材(A2099)を採用した。
シリンダーブロック。2021新骨格ではアルミ総削り出し材(A2099)を採用した。

 実は、車体貢献につながるその重要な部位は表紙の写真でも確認することができるのだが……。表紙で確認できるといえば、2021年の新骨格に合わせて投入されたエネルギー回生デバイスの一部もしっかり写っている。『CB2』と呼ぶシステムで、「全開時の回生エネルギーに換算すると10%以上増える計算になる」というから、相当に威力の大きいデバイスだ。

 デバイスつながりで紹介を続けていくと、可変吸気システムの全貌を明らかにしたのも、『ホンダF1のテクノロジー』のハイライトといっていい。ホンダは可変吸気システムをVariable Intake System(バリアブル・インテーク・システム)の頭文字をとってVIS(ビス)と呼んでいる。VISは2015年のRA615Hから適用していたが、このときは『サイズゼロ』のコンセプトでまとめられていたこともあり、吸気系に充分なスペースが確保できていなかった。狭い空間でどのように可変吸気機構を成立させていたのか。カバーを外して中身を撮影させていただいた。また、機構を解説するCAD図を提供していただき、誌面で展開している。

 VISは2016年の第10戦でアップデートされ、2017年には完全に新開発した機構に移行。この機構をベースに、2021年はある目的を達成するために、チーム側の協力を得ながら斬新なシステムを開発した。その全貌は誌面でご確認いただくとして、ここでは『Quad VIS(クアッド・ビス)』という名称だけお伝えしておこう。

 F1のパワーユニットが特徴的なのは、ターボチャージャーとモーター/ジェネレーターを一体化したMGU-Hアッシーを搭載していることだ。ホンダのパワーユニットは1.6LV6エンジンのVバンクの前側にコンプレッサーを配置し、Vバンクの後方にタービンを置いて、間にモーター/ジェネレーターを挟むサンドイッチタイプを採用していることは、熱心なファンならご存じだろう。

 それは知っていても「一体どんなふうに積まれているの?」と気になっていたはずで、本誌では積年の疑問(?)に応えるべく、MGU-H単独の写真を掲載している。その異様にも見える独特な姿をご確認いただきたい。MGU-Hアッシーは2015年から2021年まで、歴代を一挙に掲載。解説と合わせ、進化の過程を感じとっていただきたい。

 掲載写真を確認すれば一目瞭然だが、ターボチャージャーは年々大きくなっており、そのサイズから性能の高さが伝わってくる。なぜ大きくなったのか。あるいは、なぜ大きくする必要があったのか。理由のひとつはエネルギーマネジメントの進化で、予選とレースでMGU-KとMGU-Hをどのように使って競争力を高めていたのか、いくつかの具体例を挙げながら解説している。きっと、「へぇ、そんなことしてたのかぁ」という発見があるはずだ。

『ホンダF1のテクノロジー』を手に取っていただくと、F1でいかに激しい技術競争が繰り広げられているのか。ホンダがその厳しい世界でいかに短期間にキャッチアップしていったのかが手に取るように理解できるはずだ。ぜひ、お確かめいただきたい。

モーターファン・イラストレーテッド特別編集『ホンダF1のテクノロジー』の詳細と購入はこちらまで
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モーターファン・イラストレーテッド特別編集『ホンダF1のテクノロジー』:2022年3月26日発売
特別定価1980円 (特別本体価格1800円)
■CONTENTS

・HONDA F1 パワーユニットのテクノロジー 2015-2021
─熱効率と車体貢献を追求した7シーズンの技術進化
・RA621H ─速く、強く、燃やす技術─
RA620H – RA619H – RA618H – RA617H – RA616H -RA615H
・[解説] パワーユニット
7シーズンで100kW町の出力向上を果たす
・[新骨格&旧骨格]
シリンダーブロック/シリンダーヘッド/動弁系/点火
・[可変吸気システム(VIS)のメカニズム]
2016 Rd.1~/2016 Rd.10~/2017 Rd.1~/2021 Rd.1~
・油圧システムハーネス/燃料供給系/インジェクターCB2システム/3Dプリント
・[解説]カーボンニュートラル燃料
2021年にカーボンニュートラル成分を投入
・[解説]MGU-H Assy/MGU-K
ICEの高効率化にともない要求圧力比と空気流量が増加
・MGU-H Assy 2021-2015
MGU-K
・[解説]Energy Storage System(ESS)
ホンダ内製セルを2021年に投入
・[解説]Energy Management
限られたエネルギーを最適に使う技術
・[解説]Launch
ローンチ(レーススタート)最適化のメカニズム
・HRD Sakura
パワーユニット開発を支える地道な計測・テスト

旧骨格のフロントカバーは、比重の軽いマグネシウム合金製を採用。
旧骨格のフロントカバーは、比重の軽いマグネシウム合金製を採用。
新骨格のフロントカバーは、アルミ合金の総削り出しで、強度を上げつつ薄肉化。
新骨格のフロントカバーは、アルミ合金の総削り出しで、強度を上げつつ薄肉化。
2021年に投入した、ホンダF1パワーユニットのキーテクノロジーのひとつである、Variable Intake System。通称VIS。
2021年に投入した、ホンダF1パワーユニットのキーテクノロジーのひとつである、Variable Intake System。通称VIS。
ホンダF1のテクノロジー本のために、VISの動作をわかりやすく説明するために、左バンク側のプレナムチャンバーとCACパイプを透明樹脂でわざわざ製作していただいた。
ホンダF1のテクノロジー本のために、VISの動作をわかりやすく説明するために、左バンク側のプレナムチャンバーとCACパイプを透明樹脂でわざわざ製作していただいた。
ターボチャージャー大型化のために長軸化した2021年バージョンのMGU-H。こちらも世界初公開だ。
ターボチャージャー大型化のために長軸化した2021年バージョンのMGU-H。こちらも世界初公開だ。

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