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F1 ニュース

投稿日: 2022.03.27 16:13
更新日: 2022.03.27 16:14

レッドブル&HRC密着:エンジニアとの関係も一層強まったペレス。地道な努力の積み重ねが実ったポールポジション

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F1 | レッドブル&HRC密着:エンジニアとの関係も一層強まったペレス。地道な努力の積み重ねが実ったポールポジション

 2022年F1第2戦サウジアラビアGPの予選で、セルジオ・ペレスがポールポジションを獲得した。ペレスがF1でポールポジションを獲得するのは自身初。メキシコ人ドライバーとしてもF1での初ポールポジション獲得だった。

 また、215戦目での獲得は、ポール獲得までかかった期間としてはF1史上最長となった。ペレスは2020年の第16戦サクヒールGPで、メキシコ人ドライバーとして1970年ベルギーGPのペドロ・ロドリゲス以来の優勝を飾り、F1史上最長となるデビューから190戦目での初優勝を果たした。今回のポールポジション獲得で、優勝とポールポジションの両方でメキシコのF1史にその名を刻んだだけでなく、F1史上最長記録も更新しF1史にも名を残したことになる。

2022年F1第2戦サウジアラビアGP セルジオ・ペレス(レッドブル)がポールを獲得
2022年F1第2戦サウジアラビアGP セルジオ・ペレス(レッドブル)がポールを獲得

 ペレスが2011年にデビューしたのがザウバーで、そのときのチームメイトが小林可夢偉だったこともあって、デビュー当時から比較的よく取材しているドライバーのひとりだが、ペレスはいわゆる天才肌ではなく、努力型のドライバーだった。デビューシーズンは可夢偉に及ばなかったが(ドライバーズポイントで可夢偉は30点でペレスは14点だった)、2年目の2012年には3度も表彰台に上がって周囲を驚かせた。

 しかし、マクラーレンへ移籍すると、それまでのドライビングが通用せずに苦しみ、1年で離脱してフォースインディアへ移籍した。フォースインディアでエンジニアを務めていた松崎淳(現アストンマーティン/タイヤ&ビークルサイエンス部門シニアエンジニア)は、当時ペレスのことをこう評していた。

「レースでのタイヤのマネージメントは上手ですが、一発の速さという点ではまだ開拓の余地があります。とはいえ、それはチームメイトが予選に強いニコ(・ヒュルケンベルグ)と比較しての話なので、F1ドライバーとしてはいますぐトップチームに行ける速さはあります」

 フォースインディア時代、ペレスがセッション後にその松崎エンジニアとよくガレージ裏でタイヤを眺めながら、話し込んでいる姿をよく見た。しばらくして、レースだけでなく、予選でのパフォーマンスでもペレスがヒュルケンベルグを凌駕するようになっていった。

 昨年、初めてペレスと一緒に仕事をしたホンダの田辺豊治(前F1テクニカルディレクター)も、ペレスのフィードバックの高さを次のように評していた。

「経験豊富なドライバーなので、じっくり乗ってから落ち着いてフィードバックしてくれるので、我々にとっても力強い新たな戦力として一緒に戦えることをうれしく思っています。特に2020年までは異なるチームの車体やPUに乗っていたので、そことの差をいろいろと話を聞くことは我々にとって、とても参考になります。すぐに対応できるところとできないところがありますが、我々にとってはいろいろと勉強となることが多く、いいところは取り入れて、早くそれを実現できるように取り組みたいです」

 今回のサウジアラビアGPでも、木曜日のパドックでこんな光景を目にした。開幕戦から2週連続で開催されたサウジアラビアGPのパドックでは、開幕戦で2010年以来、12年ぶりに1-2フィニッシュを達成したフェラーリにメディアはこぞって注目。優勝したシャルル・ルクレールと2位になったカルロス・サインツによるインタビューをテレビ局が行っていた。その場所がレッドブルのホスピタリティハウスの前で、インタビュー中のフェラーリドライバーの向こう側にはテラス席でレースエンジニアとミーティングするペレスの姿があった。

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インタビューを受けるフェラーリのふたりの奥では、ペレスがテラス席でミーティングを行っていた

 ペレスのレースエンジニアを務めるヒュー・バードは、2020年にマックス・フェルスタッペンのパフォーマンスエンジニアを務めた経験の持ち主だ。

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ペレスと担当エンジニアのヒュー・バード

 パフォーマンスエンジニアとはマシンの電子系セットアップを担当し、ディファレンシャルの設定、ブレーキバランスの調整、電子制御システムとそのマッピングの最適化を図る人物だ。パフォーマンスエンジニアがいるおかげで、レースエンジニアはウイングレベル、最低地上高、ロールバーの調整などマシンの物理的なセットアップやタイヤの使い方、各パーツの製造過程などに目を配ることができる。

 2021年からレースエンジニアに昇格し、ペレスと初めて組んだバードにとっても、昨年は試行錯誤の1年だった。しかし、ふたりの関係は2年目の今年、より強固になり、サーキットではよく話し込んでいる姿を見るようになった。開幕戦バーレーンGPでもホスピタリティハウスのテラス席でふたりっきりでミーティングしていたものである。

 こうした地道な努力が、新世代マシンと18インチタイヤの導入でセッティングやドライビングに変化が求められるようになった2022年に、機能し始めたのかもしれない。

 そのバードとのミーティングの前には、サインツの父親とスペイン語でバーレーンGPでの3位争いについて談笑していたペレス。今回の日曜日のレースではサインツではなく、予選2番手のルクレールの追撃を振り払って、自身初、F1史上最長となるポール・トゥ・フィニッシュを飾ってほしい。

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カルロス・サインツと談笑するペレス
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2022年F1第2戦サウジアラビアGP セルジオ・ペレス(レッドブル)


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