2022年シーズンで7年目を迎えたハースF1チームと小松礼雄エンジニアリングディレクター。イモラでは今年最初のスプリントが行われたが、金曜日から雨が降る難しい週末に。ケビン・マグヌッセンはスプリントとレースの両方でポイントを獲得したが、一方のミック・シューマッハーはスプリントこそうまくやれたものの、予選と決勝では経験不足が露呈したグランプリとなった。そんなエミリア・ロマーニャGPの現場の事情を小松エンジニアがお届けします。
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2022年F1第4戦エミリア・ロマーニャGP
#47 ミック・シューマッハー 予選13番手/スプリント10番手/決勝17位
#20 ケビン・マグヌッセン 予選4番手/スプリント8番手/決勝9位
エミリア・ロマーニャGPでは、今年最初のスプリントが行われました。そのスプリントから振り返っていこうと思いますが、まずはタイヤ選択ですよね。ハースとウイリアムズの1台だけがミディアムタイヤで、それ以外は全員ソフトタイヤでした。
僕は個人的には、1〜3周目あたりまではソフトの方が速くて、それ以降はミディアムの方がいいペースで走れると考えていました。ところがチームのタイヤグループの分析では、ソフトタイヤの初期グリップのアドバンテージは確認できませんでした。ケビンのフィーリングもこの分析結果と同様でした。5周目くらいからはどちらのタイヤでも同じようなタイムになるし、13〜14周目あたりからはソフトのほうがタレてきて扱いにくいタイヤになります。ですからハースにはソフトに初期グリップのアドバンテージはないという結論でミディアムでスプリントを走ることに決めました。
でも蓋を開けてみればほとんどのクルマがソフトでした。どうして僕らだけソフトタイヤの最初の数周の性能を引き出せなかったのか解析しているところです。とはいえ、ケビンは4番手からスタートして順位をキープ、再スタートでも4番手を守ることができたので問題なかったです。一番懸念していたソフトのアドバンテージが活きる最初の数周も切り抜けましたし。しかしその後はペースが上がらず8番手でのフィニッシュとなりました。ミックはセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)の後ろで詰まっていたけれど、ベッテルを抜いた後はケビンよりいいペースで走り、10番手までポジションを上げてくれました。
ウチの場合はもしソフトを履いていたらもっと悪い結果で終わっていたかもしれません。それは上位を走っていたシャルル・ルクレール(フェラーリ)やランド・ノリス(マクラーレン)を見ればわかります。ただもっと後方を走っていたドライバー達がどうだったのかは疑問です。中団ではミックをはじめ多くのドライバーがベッテルに詰まっていて、ベッテルより後ろのドライバーのソフトタイヤのタレ具合はあの状況では見えてきません。みんな最初の数周にアドバンテージがあるからソフトを選んだのだと思いますが、もっと選択が別れると考えていたのかもしれないですね。