元ホンダの山本雅史氏が、モンテカルロで開催されているF1第6戦モナコGPを訪れた。山本氏が今年F1の現場を訪れるのはこれが2回目だ。ここまでのレッドブルの戦いぶりについて、山本氏は、昨年は実現しなかった1-2フィニッシュをすでに2度達成している同チームは「ダブルタイトルを狙える位置にいる」と見ているという。
一方2年目を迎えた角田裕毅は、チームメイトのピエール・ガスリーと「切磋琢磨している」と評価。F1直下のFIA F2を戦う岩佐歩夢についても、いろいろなことを吸収しながら成長していると語った。
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──開幕戦以来、今年2回目ですね。ここまでの6戦をどのようにご覧になっていましたか。
山本雅史氏(以下、山本氏):レッドブルに関しては、スペインGPでワンツーを獲ったのはやっぱりいいですね。非常にいい流れだと思うし、マイアミとスペインを見ていて思ったのが、レッドブルの優位性とフェラーリの優位性が異なっていて、そのあたりが非常に見てる側としてはおもしろいレースだった。ご存知のようにマイアミはストレートが長くてレッドブルが横綱相撲で勝った。マックス(・フェルスタッペン)が(シャルル・)ルクレールをオーバーテイクしたのがストレートエンドで、手前で抜かなかったのが賢い。あまり早く抜くとまた1コーナーで抜き返されてしまうから。スペインはルクレールがリタイアしたというラッキーもあるんだけど、そんななかでやっぱり攻めのレースをしていました。昨年のレッドブル・ホンダよりもいい形でドライバーズ選手権だけでなく、コンストラクター選手権もリードしています。
──レッドブル・ホンダとしては昨年一度もできなかった1-2フィニッシュを、今年はすでに2回やっていますね。
山本氏:やっぱり、ペレスのチーム加入2年目の強さの結果ではないでしょうか。今年は充分ダブルタイトルを狙える位置にいるので、本当に楽しみなシーズンだと思います。
──昨年の最強だったころのハミルトン&メルセデスと比べると、フェラーリはどうですか。
山本氏:そうですね、ルクレールと(カルロス・)サインツを見ていると、キャリア的には違うんですけど、マックスとチェコのほうが一枚上かな、と。サインツはもちろんいいドライバーだけど、やっぱり肝心なところでコースオフしたりする。ルクレールはコンスタントに頑張っているけど、サインツがやっぱりちょっと波があるのに対して、レッドブルはペレスが安定している。10チームを見ても、ドライバーふたりがもっともバランスよく強いのはレッドブルだと思います。
──スペインのチームオーダーも裏を返せば、そのくらいふたりが速かったからということですからね。
山本氏:あのレースは難しかった。ただマックスはDRSが動かなくなるという不運があったから仕方ないかなと。でも、それくらいチェコのペースは速かったし、昨年以上に強くなっています。だから、レースの戦略の立て方ももうバリエーションが豊富じゃないですか。そういう意味でもレッドブルは昨年よりも強力ですね。
──山本さんはもうホンダを離れましたが、古巣ホンダ、今年のHRCはどのように映っていますか?
山本氏:ホンダのパワーユニットマニュファクチャラーとしてのF1参戦は終了しましたが、レッドブル・パワートレインズの依頼を受けて、HRCがパワーユニットを作るということに関しては、これまでと基本的に考え方は変わってないと思います。ここまでのレースを見ていても、そこはきっちりやっているし、それがホンダです。そういった意味では、これからさらにいろいろ評価が出てくるんじゃないかなと思います。
──先日、日本GPのタイトルスポンサーがホンダになるという発表がありました。山本さんはどういうふうに思われていますか?
山本氏:昨年もホンダはタイトルスポンサーをやるつもりだったから、驚きはありません。日本のモータースポーツをしっかり支えるというか、ホンダはモータースポーツをこれからもしっかりやっていくという姿勢の表れじゃないかなと僕は勝手に想像してます。