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F1 ニュース

投稿日: 2022.07.21 18:36
更新日: 2022.07.22 03:09

【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第9回後編】連続W入賞。チームプレイで貢献のケビンと若さゆえに不満を抱えたミック

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F1 | 【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第9回後編】連続W入賞。チームプレイで貢献のケビンと若さゆえに不満を抱えたミック

 2022年シーズンで7年目を迎えたハースF1チームと小松礼雄エンジニアリングディレクター。連戦のオーストリアGPでは、今季2度目のW入賞を達成した。コンストラクターズランキングでもアルファタウリを逆転して7位に上がり、6位のアルファロメオも視野に入ってきたという小松エンジニアだが、オーストリアGPはいい結果で終わることができたものの反省点も多いレースだったという。

 コラム第9回は、前編・後編の2本立てでお届け。後編となる今回は、オーストリアGPの現場の事情を小松エンジニアが振り返ります。

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2022年F1第11戦オーストリアGP
#47 ミック・シューマッハー 予選7番手/スプリント9番手/決勝6位
#20 ケビン・マグヌッセン 予選6番手/スプリント7番手/決勝8位

 前戦イギリスGPに続き、オーストリアGPもダブル入賞で終えることができました。今シーズン、2台で週末3日間をまとめられたのはこれが初めてです。なかなかポイントを獲れないレースが続くなか、チームには、「クルマの戦闘力はあるので早くコンストラクターズ選手権で7位に上がろう」と言っていました。カナダGP終了時点でウチが獲得したポイントは15(ランキング9位)でしたが、この2連戦で19ポイントを獲得してアルファタウリも追い越すことができ、6位のアルファロメオとの差もグッと縮めることができました。長いシーズン、これからも山あり谷ありだと思いますが、とにかく常に前を向いて一歩でも上を目指していきます。

 さて今年2度目のスプリント方式で行われたオーストリアGPの週末を振り返っていこうと思います。FP1の走り出しからクルマは安定しており、金曜の予選では見事に7番手・8番手。土曜の朝のFP2はあまりよくなかったものの、そこからうまく修正してスプリントではケビンが7番手完走で2ポイントを獲得しました。日曜のレースでも6位・8位のダブル入賞とやっと3日間をまとめることができました。

 ミックはカナダGPからいいドライビングをしていて、イギリスGPでのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とのバトルもいい経験になりましたし、あそこでポイントを獲ったことで精神的にもひとつ山を超えたような感じです。安定したクルマなら自信を持って攻められるし、今回のルイス・ハミルトン(メルセデス)とのバトルでも無理をせず、守りに入りすぎることもなくよくやってくれました。

ルイス・ハミルトン(メルセデス)&ミック・シューマッハー(ハース)
2022年F1第11戦オーストリアGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)&ミック・シューマッハー(ハース)

 スプリントで「ケビンと争わないように」と指示を出したのは、後ろからハミルトンとセルジオ・ペレス(レッドブル)が来ていたので、チームメイトふたりでバトルをしてラップタイムを落としたり、タイヤのタレが大きくなるような事態を避けるためです。6、7番手からスタートして、そのままの順位で終えられるかどうかはわからなかったですが、7、8番手でフィニッシュできる可能性があったのでとにかくダブル入賞を目指してレースタイムを重視しました。

 レッドブルリンクでは3つのストレートでDRSが使えるので、DRSがないとラップタイムが0.9秒も遅くなります。ミックがハミルトンとのバトルでケビンから1秒以上離されてDRSが使えなくなった際には、ケビンに「下がってミックを引っ張ってくれ」と指示を出しましたが、ふたりの差が1秒以内に戻る前にミックはハミルトンに抜かれてしまいました。これで残念ながらミックはポイント圏外に落ちてしまいましたが、チームとしては序盤にケビンがミックをDRSで引っ張てくれたことはよかったと思っています。

 しかしスプリント後、ミックはケビンを抜けなかったことについて不満が溜まっていました。ミックはまだ若くて経験も少ないし、ケビンもロマンも若い時は同じような感じだったので特に驚くことではないです。ペレスに抜かれた後、ハミルトンとのギャップがあった段階でケビンと順位を入れ替えることはできなかったのかとも聞かれました。ミックは自分の方がケビンより速かったと言っていましたが、DRSがない状態でケビンより速く走れていたコーナーがなかったことも事実です。この辺りはもう少し全体の状況を考えて、今しなければいけないレースに集中してほしいと思いますが、まあまだ若いので彼の反応は予想の範囲内です。チームがちゃんとマネージメントしていけばいいことだと思っています。

ミック・シューマッハー(ハース)
2022年F1第11戦オーストリアGPスプリント ミック・シューマッハー(ハース)

■次のページへ:後方にいたメルセデスをカバーできず。ピットストップではタイムロス、反省点の多いレースに


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