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F1 ニュース

投稿日: 2022.08.12 12:27
更新日: 2022.08.12 13:17

【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第10回後編】アップグレード投入も、期待通りの効果を得られず。中速での遅さが痛手に

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F1 | 【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第10回後編】アップグレード投入も、期待通りの効果を得られず。中速での遅さが痛手に

 2022年シーズンで7年目を迎えたハースF1チームと小松礼雄エンジニアリングディレクター。シーズン前半戦最後のレースとなったハンガリーGPで、ハースは大きなアップデートを行った。そのアップデートは想定通りに機能したものの、実はそれほど効果を得られなかったと小松エンジニアは明かした。好調だったイギリス/オーストリアの連戦とは反対に厳しいフランス/ハンガリーの連戦でシーズン前半戦を締めくくったが、前半戦を通して多くのレースで入賞争いができる競争力があったことについては、前向きに捉えているという。

 コラム第10回は、前編・後編の2本立てでお届け。後編となる今回は、ハンガリーGPの現場の事情と、2022年シーズン前半戦を小松エンジニアが振り返ります。

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2022年F1第13戦ハンガリーGP
#47 ミック・シューマッハー 予選15番手/決勝14位
#20 ケビン・マグヌッセン 予選13番手/決勝16位

 シーズン前半戦の最後のレースとなったハンガリーGPでは、大きなアップデートを行いました。率直にいうと、このアップグレードは想定通りに機能しましたが、ハンガロリンクでそれほど効果が出るものではなかった、というのが実際に走らせてみての感想です。風洞実験を行い、それをもとにラップタイムシミュレーションをすると、ブダペストではコンマ2秒以上速くなるという結果が出たのですが、実際にクルマを走らせてどこで速くなっているのかを調べると、高速コーナーでした。

 ハンガロリンクの高速コーナーはターン4と11で、あとは低・中速コーナーです。実際にターン11では他のチームに負けていなかったので、予想通りのパフォーマンスは出ているのですが、中速のターン5、8、9あたりでは負けていました。今回のアップデートでは主に高速コーナーが改善されているので、どうして他のサーキットと比べてハンガロリンクでよくなるという結果が出たのか、走行結果からはいまいちわからないので見直しているところです。

ケビン・マグヌッセン(ハース)
2022年F1第13戦ハンガリーGP ケビン・マグヌッセン(ハース)

 予選でもQ2が終わった時点で10番手のバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)と13番手のケビンが0.4秒差でした。ターン1、2や高速コーナーでも負けていなかったのに、ターン6〜9で0.35秒、最終コーナーでも0.1秒負けていました。ターン8と9はケビンが突っ込みすぎてアンダーステアになりあまりうまく走れていなかったので、すべてクルマで負けたわけではないですが、それでも中速コーナーで遅いというのは痛手です。

 ただこのアップデートに悪いところはなかったですし、予想通りリヤのダウンフォースは増えていて機能はしているので今後もこのクルマで走る予定です。この先のベルギー、オランダ、鈴鹿、アメリカ、ブラジルなどではもっとアップデートを活かして走ることができそうです。

■次のページへ:オペレーションのミスで、予定外のハードタイヤを履いたケビン。ミックの戦略判断にも影響


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