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F1 ニュース

投稿日: 2022.10.09 20:30
更新日: 2022.10.09 20:32

【渡辺康治HRC社長インタビュー前編】HONDAロゴ復活はレッドブルとの強い絆の証。一方で「2026年以降の話とは無関係」

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F1 | 【渡辺康治HRC社長インタビュー前編】HONDAロゴ復活はレッドブルとの強い絆の証。一方で「2026年以降の話とは無関係」

 2022年のF1第18戦日本GPには、たくさんの海外メディアもやってきた。3年ぶりの日本、そして鈴鹿サーキットが本当に待ち遠しかったと彼らは口を揃えた。

 一方で旧知のジャーナリストたちからは、『ところでホンダは、どうするんだ』という質問を受けた。昨年限りで公式に『HONDA』は参戦を終了したが、今年はレッドブル陣営に『HRC(ホンダレーシング)』としてパワーユニット(PU)に関する技術支援をしている。その契約自体、当初は1年限りの予定が2025年まで延長された。一方で、契約間近と思われていた2026年からのレッドブルとポルシェの提携交渉も決裂してしまった。

 つまり2026年以降、レッドブルに搭載されるパワーユニットは決まっていないということだ(一応レッドブルは自前のパワーユニットを開発中ではあるが)。そしてこの2022年F1第18戦日本GPからは、レッドブルとアルファタウリのマシンに『HONDA』のロゴが復活した。

 海外メディアならずとも、これでは少し混乱してしまう。ホンダはF1で何をしたいのか。2026年以降のF1復帰の可能性はないのか。そのあたりを当事者であり、レッドブル首脳陣と太いパイプを持つ渡辺康治HRC社長に、日本GPの現場で聞いてみた。

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──『HONDA』のロゴが日本GPからマシンに付いたことについて、改めて経緯、意図を教えていただけますか。

渡辺康治HRC社長(以下、渡辺社長):改めて申し上げますと、まずレッドブル・グループとの2025年までの協力関係がはっきりと定まったことがあります。もともとは2021年末で関係は断絶する可能性もあったわけです。しかし、こちらが勝手に止めると言ったわけで、急に言われたチーム側を困らせるわけにいきません。そこでレッドブル・グループが2022年以降も継続して参戦できるよう、ホンダが技術支援をしたパワーユニットをレッドブル・パワートレインズから供給することになりました。とはいえ、チームが簡単に使いこなすことは難しいです。1年だけフルにお手伝いすれば自立できるとレッドブルも言ったので、ではそうしましょうと。

 ただ、実際にやってみるとそう簡単にはいかないことがわかりました。だったら2025年まで同じサポート体制を継続しようと。つまり、通算4年間の協力関係になるわけです。1年だけだったら、ホンダの名前を全面に出すことなく、HRCが静かにサポートするつもりでした。しかし、それが4年という長期間になるのなら、ホンダのコミットメント、レッドブルとの強い絆の証を出した方がいいのではないか。そこはクリスチャン(ホーナー/レッドブル・レーシング代表)と私で、話し合って決めました。

──モータースポーツ活動におけるホンダとHRCの役割分担ですが、ブランディングの構築はホンダですね。

渡辺社長:はい。そして実務がHRCということです。たとえば契約関係など、技術的な分野全般です。とはいえ、ホンダとHRCは一体で動いた方がいいです。ですので私も兼務しているわけです(渡辺社長はホンダ本社のブランド・コミュニケーション本部長でもある)。

2022年F1第18戦日本GP レッドブルRB18のフロントノーズに掲出されたHRCのロゴ
2022年F1第18戦日本GP レッドブルRB18のフロントノーズに掲出されたHRCのロゴ

──今回ホンダのロゴを出したことは、2026年に復帰するための布石なのかと勘ぐる動きもあります。

渡辺社長:それはゼロです。ゼロというのは復帰がゼロという意味ではなく、ホンダのロゴを出した意図は、ということです。先ほども言ったように、ホンダのロゴは全く違う理由からです。2026年以降どうこうという話とは、まったく無関係です。

──2021年末で参戦を終了し、F1というツールを失った今、ブランディングの観点から現在どんなことを感じていますか。あるいは、F1の価値をどう捉えているかについて、答えていただいても構いません。

渡辺社長:F1の価値は、最初からずっとモータースポーツの最高峰という理解をしてきました。そしてホンダのイメージ、ブランディングを牽引するものと捉えています。非常に重要な活動です。

──その意識は、全社的に共有されているのでしょうか?

渡辺社長:う~ん、そうではないと思います。以前よりは薄れているのかなと。

──参戦終了の決断にも、その部分はある程度影響したのでしょうか。

渡辺社長:ここはぜひとも強調したいのですが、2年前の10月の参戦終了発表の際にお話したことを、ホンダはすべてやり切っています。その意味では、我々は何も変わったところはありません。カーボンニュートラルをやる、その実現のために人的物的資源を振り向ける。F1に関っているようなトップエンジニアの存在は、そのために不可欠な存在です。そして、実際に彼らをシフトさせました。完全なシフトです。

 一方で大きな変化だったのは、パワーユニット規約の凍結です。そのことが決まったのは、参戦終了発表の後でした。その後にレッドブルから助けてくれと来ました。規約が凍結されていますので、開発陣がいなくてもHRCで何とか回せる。部品を調達してイギリスに送り、オペレーションをお手伝いする。当初は1年の予定でしたが、それが2025年まで延長されたわけです。

(後編に続く)

2022年F1第18戦日本GP 優勝を飾り2年連続のドライバーズチャンピオンに輝いたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2022年F1第18戦日本GP 優勝を飾り2年連続のドライバーズチャンピオンに輝いたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2022年F1第18戦日本GP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2022年F1第18戦日本GP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2022年F1第18戦日本GP アルファタウリAT03のエンジンカウルに掲出された『HONDA』ロゴ
2022年F1第18戦日本GP アルファタウリAT03のエンジンカウルに掲出された『HONDA』ロゴ


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