3年ぶりに開催された2022年のF1日本GP。金曜日から話題盛りだくさんのグランプリウイークとなり、決勝日となる日曜日は9万4000人が来場し、2012年以来の“20万人超え”を達成。多くの観客が見つめるなかマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が2年連続のドライバーズチャンピオンを獲得しました。そんな日本GP現地の様子を柴田久仁夫氏がお届けします。
──────────────────────
土曜日の晩、ちょっとドキッとすることがありました。金曜日に続いて、コースを走りに行ったんですよ。
予選も終わり、日がすっかり暮れても、グランドスタンドにはほぼ満員のお客さんが。ドライバーたちが入れ替わり立ち替わり来て、トークショーをやっていたのでした。
僕が走り出そうとしたときには、ちょうどピエール・ガスリー&角田裕毅のアルファタウリコンビが、歓声に送られて帰っていくところでした。
お客さんたちの持っているペンライトが真っ赤になっていました。フェラーリのシャルル・ルクレール、カルロス・サインツの登場です。
当初の予定では、トークショーを終えたらそのまま帰ることになっていたそうです。ところがフェラーリのふたりはサービス精神を発揮して、即席のサイン会を始めたのでした。
ファンは大喜び。そこまでは良かったのですが、ルクレールが最前列のコンクリートの段に上がって移動しようとしたときに、足を踏み外してしまいました。まさに僕の目の前でした。
足を引きずりながら、顔をしかめている。「大丈夫?」と聞いたら、「かなり痛い……」と。
大丈夫か心配でしたが、翌朝フェラーリの広報に確認したら、「なんともなかった」とのことでした。本当かなと思いましたが、決勝レース終盤のセルジオ・ペレス(レッドブル)とのバトルを見る限り、大丈夫だったのでしょう。いや~、ドキッとしました。
そして決勝当日。ゲートの入り口では、僕らの前にいたレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表に、ファンの人たちが盛んに手を振っていました。
駐車場にレンタカーを停めていると、爆音とともにプライベートヘリが着陸。「お、ドライバーかな」とカメラを構えていると、小学生の子供を連れたご家族でした。
一緒に見ていた同僚が、「小さいときからヘリで旅行していたら、ちゃんとした大人になれないよ」と、まったく根拠のない僻み発言をしていました(苦笑)。
山本左近くんじゃないですか。いや、山本先生とお呼びするべきか。F1ドライバー時代には決して見せなかったこの笑顔。選挙運動で鍛えられたんだね~。
そこに角田パパも合流。なんだか不思議な3ショットでした。正面で笑っているのは、アルファタウリのオフィシャルパートナーでもあるBuzzグループ代表の長谷川大祐氏です。
ちなみに岸田文雄首相の日本GP訪問には、左近くんも「半年くらい前から実現に尽力してきたうちのひとり」なんだそうな。
議員1年生は、なかなか政務官にはなれないそうです。F1ルーキーが、いきなりレースで入賞するようなもの?
モータースポーツ発展に尽力して下さいよ、山本先生!
鈴鹿ラストレースのベッテルは、アライヘルメットへの感謝を込めた、ヘルメット外箱カラーリングの特別へルメットを大切そうに抱えていました。
レースでは自分の判断で真っ先にインターミディエイトに履き替え、堂々の6位入賞。お見事でした。まだまだ、十分やれるのにな……。
グリッドには岸田文雄首相の姿も。現職の内閣総理大臣がF1日本GPに来るのは史上初。ここからいろいろ動くといいですね。
ネットニュースでは、『マスクなしで訪問』などと書かれていましたが、僕の横を通り過ぎるときはマスク姿でした。
レースはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の圧勝。そしてペレスの素晴らしいアシストで、2年連続のタイトルも確定したのでした。
暗くてかなりブレていますが、喜び合う吉野誠チーフメカニックとHRC四輪モータースポーツ部門の親分(四輪レース開発部部長)である浅木泰昭さん。吉野さんはF1ベルギーGPの表彰台に立って、号泣していた姿を覚えてる人も多いのでは?
これだけの人数でレースの週末、レッドブルとアルファタウリ両チームのパワーユニットをしっかりと回しているわけです。まさに少数精鋭のつわものたち。
「今回のタイトル獲得はもちろんうれしい。でも僕らとしてはコンストラクターズタイトルこそ獲りたいです」と言っている姿が印象的でした。