長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価する。今回はブラジルGPでの戦いぶりを振り返る。
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■評価 10/10:最速にもかかわらず、不運で勝利をつかめなかったハミルトン
ルイス・ハミルトン(メルセデス):予選8番手/スプリント3番手/決勝2位
今シーズンのルイス・ハミルトン(メルセデス)は、本当に運に恵まれない。週末を通してチームメイトより速さがあったにもかかわらず、最良の結果には結びつかなかった。予選Q3ではコースインのタイミングが遅かったことでポール争いができず。スプリントで8番手から3番手でフィニッシュ、カルロス・サインツのペナルティで決勝2番グリッドに繰り上がるが、マックス・フェルスタッペンとの接触でポジションを落としてしまった。その後のラップタイムから判断して、インシデントでマシンがダメージを受けていなければ、ジョージ・ラッセルに勝って優勝できたものと思われる。
■評価 9/10:初優勝のラッセルと初ポールのマグヌッセン
ジョージ・ラッセル(メルセデス):予選3番手/スプリント1番手/決勝1位
カルロス・サインツ(フェラーリ):予選5番手/スプリント2番手/決勝3位
ケビン・マグヌッセン(ハース):予選1番手/スプリント8番手/決勝リタイア
もちろん、ジョージ・ラッセル(メルセデス)が金曜予選でコースオフで赤旗を出したのはよくないことだったが、その後の土曜と日曜には勝利にふさわしい素晴らしい仕事をした。スプリントではフェルスタッペンをオーバーテイク、日曜決勝ではひとつもミスをせず、100パーセント完璧な走りで、ハミルトンを寄せ付けなかった。ドライバーにとって夢のようなシナリオでのF1初優勝だった。
カルロス・サインツ(フェラーリ)は、パワーユニット交換のペナルティによりメインレースで5グリッド降格されたものの、チームメイトよりも良い結果を出した。予選Q3でチームからインターミディエイトタイヤを使うよう求められたが、これを拒否するという正しい判断を見せた。チームメイトには欠けている確固としたリーダーシップを見せたことで、スプリントに向けて良いグリッドを確保、コース上でフェルスタッペンをオーバーテイクした。日曜決勝では捨てバイザーがダクトに引っかかるというトラブルで予定より早いピットストップを強いられたが、見事な挽回で3位表彰台をつかんだ。
ケビン・マグヌッセン(ハース)が予選でポールポジションを獲得したのは快挙であり、その上に、スプリントでは冷静にスタートを決めて、最初の2周をリードした。ハースでそんなことが可能だと、誰が考えただろう。惜しまれるのは、自分より速いマシンと戦いすぎたことで、それによってタイヤを使いすぎて、残り5ラップでランド・ノリスが後ろから近づいてきたときに抵抗できなかったことだ。日曜のメインレースではあまり良いスタートを切ることができず、その直後に、ダニエル・リカルドにヒットされて、1周目でレースを終えなければならなかった。あのインシデントでマグヌッセンは完全に被害者だった。