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F1 ニュース

投稿日: 2023.01.30 17:34
更新日: 2023.01.30 20:45

通算最多ポール&勝利記録のハミルトンが歴史的初停滞。揺らぐ“ポールの概念”/2022年F1数字考第2回

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F1 | 通算最多ポール&勝利記録のハミルトンが歴史的初停滞。揺らぐ“ポールの概念”/2022年F1数字考第2回

 昨季2022年シーズンのF1における“数字”を軸にアレコレ考えていく『2022年F1数字考』の第2回。今回はドライバーの通算勝利数と通算ポールポジション獲得回数の動向に目を向け、そこから話を展開していこう。2022年シーズンの数字、というよりは、2022年シーズンまでの数字、という色合いが濃くはなるが、この2大記録トップの数字が2022年はどちらも動かなかったわけで、それはけっこう歴史的な出来事であった。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 F1世界選手権におけるドライバーの通算勝利数と通算ポールポジション獲得回数、いずれも現役のルイス・ハミルトン(メルセデス)がトップに立っていることに説明の要はないだろう。あらためて両部門のトップ10をまとめると、以下のようになる(2022年シーズン終了時点。一部の数字には異説等存在する場合もある)。

■F1通算勝利数トップ10
1位 ルイス・ハミルトン 103勝
2位 ミハエル・シューマッハー 91勝
3位 セバスチャン・ベッテル 53勝
4位 アラン・プロスト 51勝
5位 アイルトン・セナ 41勝
6位 マックス・フェルスタッペン 35勝
7位 フェルナンド・アロンソ 32勝
8位 ナイジェル・マンセル 31勝
9位 ジャッキー・スチュワート 27勝
10位 ジム・クラーク 25勝
10位 ニキ・ラウダ 25勝

■F1通算ポールポジション獲得回数トップ10
1位 ルイス・ハミルトン 103回
2位 ミハエル・シューマッハー 68回
3位 アイルトン・セナ 65回
4位 セバスチャン・ベッテル 57回
5位 ジム・クラーク 33回
5位 アラン・プロスト 33回
7位 ナイジェル・マンセル 32回
8位 ニコ・ロズベルグ 30回
9位 ファン・マヌエル・ファンジオ 29回
10位 ミカ・ハッキネン 26回
〜〜〜〜〜
13位 フェルナンド・アロンソ 22回
14位 バルテリ・ボッタス 20回
14位 マックス・フェルスタッペン 20回

 勝利数の方には今季2023年も現役を続行する者がトップ10に3人含まれているが、ポール数の方にはハミルトンしかいない。そこでポール数に関しては参考記録として、『トップ10圏外ながら通算20回以上で2023年も現役』の3人を付記している(現時点で20回以上は16人)。

 2022年、通算勝利数のランキングを一気に駆け上がっていったのがマックス・フェルスタッペン(レッドブル)である。2021年シーズン終了時点では通算20勝、歴代16位タイだったのに、1年で15勝を加算、並み居る先達たちをごぼう抜きにして歴代6位までジャンプアップした。この快進撃、2023年も続くのだろうか? 勝ちまくるなら、今季中に歴代3位まで浮上することも不可能ではない。

2022年に年間15勝を挙げ、通算勝利数歴代6位まで浮上したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2022年に年間15勝を挙げ、通算勝利数歴代6位まで浮上したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 通算勝利数、通算ポール数ともトップのハミルトンは、2021年シーズン終了時点で両部門とも103という数字であった。そして2022年、彼はF1参戦16年目にして初めて、勝利もポールも得られなかった。いずれも“初停滞”である。偶然とはいえ、ふたつの数字が並んでいた状態で『デビュー年から毎年1勝以上』と『デビュー年から毎年ポール1回以上』が途切れたことには、記録というものの不思議さも感じる。

 さて、この『デビュー年から毎年1勝以上』と『デビュー年から毎年ポール1回以上』は、いずれもハミルトンの15が最高記録。彼ほど最初からトップレベルで長く走り続けている存在はいない、ということの証左であり、両記録が途切れた2022年にしてもトップレベルの争いには参加していた(と思う)ので、つくづく、凄いお人である。

103回というF1歴代最多ポール&最多勝利記録を持つルイス・ハミルトン(メルセデス)
103回というF1歴代最多ポール&最多勝利記録を持つルイス・ハミルトン(メルセデス)

 この両記録、『デビュー年から』という制限を取っ払うと、少し様相が変わる。ポールの方はハミルトンの15年連続が単独の歴代最高で不変だが、勝利数の方の15年連続にはミハエル・シューマッハーが並ぶことになるのだ。

 シューマッハーはF1参戦2年目の1992年から“第1次引退”をする2006年まで15年連続で毎年1勝以上を記録。ここでピンとくる人も多いだろう、彼のF1デビューは1991年で、この年は後半6戦にしか出走していない。つまり、『デビュー年から』というくくりをつけた場合に、シューマッハーはちょっとかわいそう、との見方が成立する。

 6戦出場というのは、スポット参戦というレベルではなく、フル参戦にも遠い。なんとも中途半端な数だ。シューマッハーにはこの記録(デビュー年から、の条件がついた場合の連続シーズン勝利記録)に関しては運がなかった、というところだろうか。

 ともに15年連続優勝を記録したふたりだが、シューマッハーは1992、1993、2005年の3シーズンが1勝のみ。キャリア初期はさておくとして、2005年は記録継続の大ピンチだった。2005年唯一の勝利は、当時のミシュランタイヤ勢が実質的に決勝を棄権し、ブリヂストン(BS)勢3チーム6台のみで争われたアメリカGP(インディ・ロードコース)でのものだ。フェラーリの僚友ルーベンス・バリチェロ以外にシューマッハーと競える存在はいなかった。

 BS勢が大苦戦した2005年、シューマッハーは毎年1勝以上を継続するほとんど唯一のチャンスをアメリカGPで確実にものにしたのである(バリチェロとの際どい攻防のシーンもありつつ)。

ミシュランタイヤ勢がフォーメーションラップでピットに戻ったため、ブリヂストンタイヤ装着の6台でスタートした2005年F1アメリカGP
ミシュランタイヤ勢がフォーメーションラップでピットに戻ったため、ブリヂストンタイヤ装着の6台でスタートした2005年F1アメリカGP
2006年F1中国GPでキャリア最後の優勝を飾ったミハエル・シューマッハー(フェラーリ)
2006年F1中国GPでキャリア最後の優勝を飾ったミハエル・シューマッハー(フェラーリ)

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