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F1 ニュース

投稿日: 2023.02.18 11:42
更新日: 2023.02.18 11:43

アルピーヌF1『A523』は正常進化マシンながら新TDの意欲作。注目はリヤサスペンションのコンセプト変更

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F1 | アルピーヌF1『A523』は正常進化マシンながら新TDの意欲作。注目はリヤサスペンションのコンセプト変更

 2月16日、アルピーヌF1がイギリスのロンドンで2023年型マシン『A523』を発表した。前日の15日までに、すでに9チームが新車のお披露目を終え、アルピーヌの発表は2023年のF1新車発表としては最も遅い10番目だった。

 だが、2月16日に発表会を行うという決定は1月5日にすでに公表しており、公表した順番としてはアストンマーティン(12月16日)、フェラーリ(12月22日)、アルファタウリ(12月24日)に次ぐ4番目だった。したがって、発表が最後になった理由が、新車の開発が遅れていたからというわけではないようだ。

 その証拠にアルピーヌは発表会前の13日に、シルバーストン・サーキットで新車のシェイクダウンを行っていた。つまり、新車はでき上がっていたのに、発表会が16日になったのは、会場がその日しか空いていなかったのか、あるいは主要メンバーの日程が一致するのがその日だったのか、どちらかだろう。そして、その答えはおそらく後者だったのではないか。

2023年型マシン『A523』のシェイクダウンを非公開で実施したアルピーヌF1
2023年型マシン『A523』のシェイクダウンを非公開で実施したアルピーヌF1

 というのも、16日の発表会には大物が勢揃いしたからだ。まずルノーCEOのルカ・デメオがフランスから駆けつけ、アルピーヌのCEOを務めるローラン・ロッシが壇上に並んだ。チーム代表のオットマー・サフナウアーとエステバン・オコン、ピエール・ガスリーというふたりのドライバーはもちろん、新車A523の解説役としてテクニカルディレクターのマット・ハーマンも登場した。

 さらに、最後の登壇者として発表会を盛り上げたのが、元サッカー選手のジネディーヌ・ジダンだ。フランスチームのキャプテンとして、ワールドカップを制したこともあるフランスの英雄であるジダン。2023年からアルピーヌのブランドアンバサダーを務めることとなった。

アルピーヌF1の2023年型『A523』の発表会に登壇したエステバン・オコン、ピエール・ガスリー、オットマー・サフナウアー代表
アルピーヌF1の2023年型『A523』の発表会に登壇したエステバン・オコン、ピエール・ガスリー、オットマー・サフナウアー代表
アルピーヌの2023年F1マシン『A523』の発表会でブランドアンバサダー就任が発表されたジネディーヌ・ジダン
アルピーヌの2023年F1マシン『A523』の発表会でブランドアンバサダー就任が発表されたジネディーヌ・ジダン

 さて、アルピーヌの新車A523はハーマンが開発を指揮して製造されたデビュー作だ。2018年途中までメルセデスのパワートレインインテグレーション&トランスミッションデザインの統括マネージャーを務めていたハーマンがルノーに移籍してきたのは2018年の9月。シャシー部門のテクニカルディレクターだったパット・フライの下で、メルセデス時代のエンジニアとしての豊かな経験を用いて、エンジニアリングディレクターとしてシャシーとパワーユニットを高いレベルで統合することに従事していた。

 その仕事ぶりが買われ、2022年の2月にフライが最高技術責任者に昇進すると、ハーマンが新しいテクニカルディレクターに任命された。つまり、昨年のA522はフライの作品で、このA523がハーマンにとってテクニカルディレクターとしての処女作となる。

 そのハーマンが自ら解説したA523は、空力こそA522のコンセプトを継承した正常進化型だが、いくつかのコンセプト変更が施されたハーマンの意欲作となっている。そのなかで最も注目したいのは、ハーマンが「リヤサスペンションのコンセプトを変更した」と語ったことだ。

 アルピーヌのサスペンションはフロントがプッシュロッド方式で、リヤがプルロッド方式だ。発表会の会場にあったマシンを見る限りはリヤサスペンションはプルロッド方式だったが、直後にチームから配信された新車の写真を見ると、プッシュロッド方式になっていた。

アルピーヌF1の2023年型マシン『A523』(フロント)
アルピーヌF1の2023年型マシン『A523』(フロント)
アルピーヌF1の2023年型マシン『A523』(上部ビュー)
アルピーヌF1の2023年型マシン『A523』(上部ビュー)

 2022年までの段階で、リヤサスペンションをプッシュロッド方式にしていたのは、レッドブル、マクラーレン、アルファロメオ、アルファタウリの4チームだけだったので、もしアルピーヌがこれに加わると5チーム目となる。このサスペンションの変更はもちろん、リヤの空力の流れを変えるためだ。

 2022年に第2集団のトップとなり、トップ3に次ぐコンストラクターズ選手権4位となったアルピーヌ。主要なコンセプトは維持しつつ、そのコンセプトを生かす新たなトライを行ったハーマン。その視界には4位はもちろん、トップ3の姿も映っているかもしれない。

アルピーヌF1の2023年型マシン『A523』(左フロントサイド)
アルピーヌF1の2023年型マシン『A523』(左フロントサイド)
アルピーヌF1の2023年型マシン『A523』(右リヤサイド)
アルピーヌF1の2023年型マシン『A523』(右リヤサイド)
エステバン・オコン&ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
エステバン・オコン&ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
マット・ハーマン(アルピーヌF1チーム テクニカルディレクター)
マット・ハーマン(アルピーヌF1チーム テクニカルディレクター)


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