J SPORTSが6月にモータースポーツ番組を50時間連続放送するらしい、という情報を聞きつけた編集部は同社の三原弘モータースポーツ番組プロデューサーを直撃した。
「さすがオートスポーツさん、情報が早いですね。じつはここ数年、ニュルブルクリンク24時間(ニュル)とスーパーフォーミュラ(SF)の開催日が重なっていたのですが、世界ツーリングカー・カップ(WTCR)がニュルと共催になり、今年はフォーミュラEもある。まさに、6月21日からの週末はモータースポーツが盛りだくさんで、各番組をバラバラと放送するのではなくひとつのチャンネル(J SPORTS 3)で連続放送したいと考え“50時間モタスポ祭り!”という企画を作りました。でも単純に、生放送と再放送だけをやっても面白くないので、新しい試みとしてニュルの予選、TCRジャパンと全日本F3も生中継で放送することを計画しています。しかも、J SPORTS 3に加えオンデマンドでも放送を予定していて、ニュルは放送されない時間帯を含め、レースをすべて生配信します」
なんと噂ではなく、6月21日深夜1時30分〜23日午前4時まで50時間連続でモータースポーツファンなら見逃せない魅力的なコンテンツを、生中継を中心に番組を編成。放映予定などは、掲載の番組表を参照して欲しいが、このなかでも注目したいコンテンツと言えばニュルとSFだろう。
そこで今年、TOYOTA GAZOO Racingの一員としてニュルに挑戦する土屋武士に、ニュルの魅力を聞いた。
「ニュルのノルトシュライフェは、本当に世界のサーキットのなかでも一番過酷で危険性が高いコースと言えます。時速200kmオーバーでクルマがジャンプしたり、路面のミューが低く、縦Gが起きるコーナーがあるとか、他にはない要素が詰まったコースなんです。さらに天候も大きく変化するため、コースの一部はドライだが、一部は大雨ということもあり、気象条件的にも過酷なのです。そこに、本当のレース好きが200台以上もエントリーしてきて戦いを繰り広げるのです。まさにニュルは、ヨーロッパのモータースポーツの歴史が詰まっていて、クルマもドライバーも勇気がないと挑めないサーキットなのです。だからこそ、僕もチャレンジすることにやりがいを感じています」
では、今年J SPORTSのTV中継を通じて日本から応援してくれる土屋ファンに注目してもらいたいニュルのポイントはどこだろうか。
「今年トヨタは、新型スープラを投入して挑みますが、僕はLCを使用したチームから参戦します。目的は、このニュルでクルマを鍛える、人を鍛えることにあります。間違いなく、トヨタ自動車が将来作る一般市販車の開発につながる挑戦であり、ニュルで鍛えられたものが皆さんが将来乗るクルマに生かされている可能性が充分にあるのです。そういう視点でレースを観てもらうのも、ワクワクして面白いと思いますね」
続いて、今年のSF開幕戦でJ SPORTSのTV解説を担当した土屋武士にSFの魅力も聞いた。
「今年導入されたSF19は、ダウンフォースが効いていて非常にコーナリングが速いマシンになっていると思います。そして、ドライバーの面々がすごく充実しているのも魅力と言えますね。F1の一歩手前という新たな外国人ドライバーが増え、それを国内の成熟したドライバーが迎え撃つという、ドライバーの真の速さの戦い、独走を許さないというプライドの戦いという部分も面白いですね。本当に毎戦、誰が勝つか分からない、というのはレースレベルの高さを表していると言えます。そのなかでも注目しているのは、アレックス・パロウですね。彼は非凡な才能があり、走行シーンからクルマのコントロール能力が高いということが分かります。あと、山本尚貴がこれまでよりも強い意識を持ちながら、リラックスして挑んでいるところに成長を感じています」
ドライバー視点ならではの見どころを土屋が語ってくれたが、それを参考に50時間連続放送を楽しんで欲しい。