更新日: 2024.07.09 12:29
ガレージ56から発展した最高1360PS発生の電動マシン『ABB NASCAR EVプロトタイプ』が初公開
2024年シーズンで2回目の開催を迎えたシカゴ市街地コースでの2024年NASCARカップシリーズ第20戦『グラントパーク165』を前に、現地土曜午前にもシリーズ主導で製作されたEVプロトタイプカーが初公開に。世界的電力関連企業グループであるABBとの提携も発表し、同社がシリーズ最初の公式“IMPACT”パートナーに就任すると同時に、電動コンセプトモデル『ABB NASCAR EVプロトタイプ』がお披露目されている。
現在カップシリーズに参戦するゼネラルモーターズ(GM/シボレー)とフォード(フォード・パフォーマンス)、そして北米トヨタ(TRD U.S.A.)の3社も開発に関与し、NASCARとその技術パートナーが集結して製作が進められてきた同車は、現行Next-Gen規定車両やル・マン24時間参戦用の“ガレージ56”プロジェクトも担当したメンバーが開発の中軸を担い、その車体には改造されたNext-Gen規定シャシーが活用されている。
「このシカゴストリートレースの現地にて、シリーズが掲げた“IMPACT”の最初のパートナーとしてABBを迎え、同時に『ABB NASCAR EVプロトタイプ』を発表できることを光栄に思う」と語るのは、NASCARのシニアバイスプレジデント兼チーフIMPACTオフィサーに就任するエリック・ナイキスト。
「ABBは業界のリーダーであり、今後10年間でネットゼロの運営排出量達成を目指すなかで、当社の脱炭素化の取り組みを支援してくれるはずだ」
このEV開発は2022年の夏頃から本格化し、テストドライバーをベテランのデビッド・レーガンが務めている。車体には、特別設計のグッドイヤータイヤに直接パワーを供給するSTARD製UHPの6相モーターを3基搭載。フロント1基、リヤ2基の配置で全輪駆動とし、78kWhの液冷式バッテリーを含めた調整可能なパワートレインは、ピーク時に約1000kW(約1360PS)を発生するという。
シリーズとして「2035年までに、コアオペレーション全体でカーボンフットプリントをゼロにしたい」との目標を掲げているNASCARは、電化と革新的なソリューションを導入すべくABBとの提携に踏み切った。
「ABBは電化と自動化の技術的リーダーであり、世界中のカスタマーの運営最適化、電化、脱炭素化を支援してきた」と語るのは、ABBのエグゼクティブバイスプレジデントを務めるラルフ・ドナーティ。
「NASCARとABBの北米部門、そしてNASCARの業界全体が協力する真の目的は、EVレースから長距離輸送、施設運営まで、電動化技術の限界を押し広げることにあるんだ」