シモン・パジェノー。フランス生まれの32歳は、インディ500を前に33歳を迎える。
フェニックス・レースウェイで行われたインディカー・シリーズ第4戦。パジェノーは、105戦目(チャンプカー時代を含む)で念願のオーバル初優勝を遂げ、シリーズランキングも1位に浮上。今シーズンもチャンピオン候補の一角を担っている。
■限られたチャンスを生かしインディカーへ
2016年にインディカー・シリーズのチャンピオンを獲得したパジェノーだが、そこに至るには結構な紆余曲折があった。
母国フランスで入門フォーミュラに挑戦を始めた時に目指したのはもちろんF1だったが、情熱や才能はあっても資金がない、というよく聞くパターンでヨーロッパでは行き詰まった。するとパジェノーはアメリカに目を向けた。フランス人でこのパターンは多くはない。
2006年のチャンプカー・アトランティック(F3レベル)で参戦初年度にタイトル獲得。奨学制度で翌年チャンプカーにステップアップと、アメリカでのキャリアはトントン拍子で進んだ。
ところが、トップカテゴリーでの2シーズン目は突然実現しないことになった。チャンプカーがインディカーに吸収されて消滅してしまったからだ。
シートを失ったパジェノーに手を差し伸べたのはホンダだった。才能を認めてスポーツカーに起用すると、期待された通りの活躍をして彼は世界中評判がアップ。プジョー・ワークスからル・マン24時間に出場するまでになった。フランス人としては大きな栄誉だ。